第5回国会(特別会)
質問第十二号 食糧確保臨時措置法の運用に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和二十四年二月十四日 池田 恒雄 参議院議長 松平 恒雄 殿食糧確保臨時措置法の運用に関する質問主意書 一、昭和二十四年度の農業計画を説明されたい。 これと併せて、都道府県並びに市町村の農業計画について、いくつかの事例を説明されたい。 二、食糧確保臨時措置法によると、事前割当は、先づ市町村の農業調整委員会の議決を経て、公表をするということになつているが、この議決はいかなる時期に行うべきものか。 三、私が、最近関東、東北のいくつかの村についてみたところでは、 (1) 昨年度夏作については、五月中に事前割当をするという方針に聞いていたが、村々における事実をみると、収穫後に事前割当をやつているところが多い。このためいろいろ問題をかもしているが、これはどう仕末されるのか。 (2) 昨年秋蒔の麦についてみると、蒔付け当時において事前割当がなされていない。しかも未だに正式の議決や公表があつたかどうかハツキリしない村があるのはどうしたことか。 四、法律では超過供出を強制しないとなつているが、どのような方法で超過供出を実施しようとしているのか。 二十三年春から、事前割当制になつたという意味で、多くの町村では収穫期において実収調査をしてない。これでは超過収穫を捕捉することができないと思うがどうか。 また、供出数量の変更、地力差の補正、その他供出割当の改善の視角から、矢張り事前割当制の場合でも実収調査を実施しなければならぬと思うがどうか。 五、食糧臨時措置法が毎年どのような順序でその活動を展開してゆくかということを、一般農家も、農業調整委員もハツキリ認識していないようであるが、農業調整委員会は行政庁の監督下にあるのだから、もつとハツキリしておるべきものと思うがどうか。 それとも、政府は折角この法律を制定しながら、この法律を棚上げにして、戦時中より慣行化されて来ている国家に対する盲従的協力主義、隣保連帯主義を護持強行してゆこうとするのか。 六、一月末、関東信越財務局を訪問したとき農村から約一千万石の闇米が流れているという説明を聞いたのであるが、これはどのような方法で計算したか、また、この闇米を何故に捕捉しないか。 (1)一方において一千万石の闇米が流れているのに一方では裸供出や赤字供出が強行されているのはどうした訳か。 (2)村を歩るくと完全農家と転落農家という二つの階級がみられる。何故にこのような階級制度を設けておくのか、そして、また何故にこの二つの階級の胃のふに差別をつけることが国策としてよろしいのか。 七、供出割当は、前項にもみられるように、戸別にも、字別にも町村別にもデコボコが多い、このことは数年来指摘されていたことでもあるが、一向修正されないのはどうした訳か。 このような不合理な割当の下で、飯米に事欠く農家が続出し、中には口を減らすため子供を売るといつた民主主義以前の悲ゲキも発生している。 しかも、これらの貧農達が、供米について不平不満を訴えると、非協力者とか、供米阻害者とかいつて圧迫されている向もある。この場合、供米を担当する公務員達はいわゆる村のボスと協力している。 同胞愛、国家再建、村の責任ということは独り公務員達の専売特許ではない、しかるに公務員や一部村の有志なる者が、このような美しい言葉に藉口して、不合理をインペイする、そして農民の正当なる生存のための発言を阻止することは、ナチス的であり、地主的である。 戦争中発達したナチス的にハイカラ化した地主支配は一日も早く排除しなければならないのに、最近の供米事情は、残存するこのナチス的地主支配を更に培育再起せしめようとしている。このことは重大である。どのように対策するのか。 |