第4回国会(常会)
質問第十三号 塩業政策に関する質問に対する答弁書に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和二十三年十二月十二日 板野 勝次 参議院議長 松平 恒雄 殿塩業政策に関する質問に対する答弁書に関する質問主意書 一、政府は、全面的外塩依存の政策をとつているのに対し、その理由を、国内塩業復興の誘い水であると答弁しているが、何故に、又いかなる論拠を以つて、誘い水とするか具体的に見解を明示されたい。 二、文字通り豊富な海水資源を日本産業の再建のために活用できぬ現状は甚だ遺憾である。その根本原因は旧式製塩方式にあると考えるが、また、その抜本的対策如何。 三、旧式塩業方式のため必要な設備の改善、高度化に対しては禁止に等しい措置を講じているが、この状況で果していかにして生産コストの引下げを行うつもりであるか。また、塩業の新設、改良、補修等の禁止理由とその対策並解除の時期如何。 四、資金、資材、労力を配分するとの具体的計画を明示されたい。 五、経営も技術も共に従来政府において運営して来ているが、そのために政府自体が独占的封建的企業としていまだに民主化へ一歩も前進していない。従つて、専売法、塩業組合法の如きはあきらかに塩業の民主化、近代化を妨げている。専売法塩業組合法に対する改廃の意図があるかどうか、あればその改廃要点と時期を示されたい。 六、来年度の供給計画は国内生産四〇万乃至四五万屯程度と政府は予想しているが、明年度における企業整備後の実生産能力約六二万屯で、その差二〇万屯の生産力をどのように配分考慮しているかその具体策を明示されたい。 七、塩の収納停止は政府の政治的貧困に基づく計画である。昭和二十三年度における塩の総生産高は七〇万屯であるが、何故生産計画を三〇万屯としたのか、残余の四〇万屯はヤミに流されたことになるが果してヤミに流されたかどうか。 八、精炭の配炭計画が二〇万屯で割当が六、四〇〇屯に大巾に切りさげられた真相を明示されたい。また配炭のない場合代用燃料を使用すれば、賠償金支払実行予算が当然加算されるべきであるが、何故直に支払実行予算の追加計上をしなかつたのか。 このような事態から発生した事業場の閉鎖、休止等による労働者の大量馘首及び労働条件の底下はあきらかに政府の責任である。この責任に対して政府のとるべき具体的措置はどうか、今後このような事態が発生したときの政策の措置はどうするつもりか。 九、ソーダ用塩については、産業復興を名目とした一部大工業資本に対する援助であつて、国民をギセイとした飢餓輸出とみなすべきで、特需価格については大産業資本擁護政策であると断ぜざるを得ないがそうではないか。 一〇、塩業の企業整備については業者労働者共に不安を感じているため生産に悪影響があるのでその時期を明示されたい。 昭和二十八年度において九〇万屯生産計画をたてている政府が何故企業整備を必要とするかまた輸入を必要としている今日現在企業整備の対象となつているものに対し新設、改良、補修を許可もないのは外塩依存主義といつても政府は弁解の余地なきものと思うがそのように思つて差支えないか。 一一、整備される製塩場名並その所属別労働者数を発表されたい。また整理交付金の額及び製塩労働者約四、五〇〇名の解雇手当額を示されたい。 失業による職業の斡旋並生活保証は政府の責任においてなすべきものであるがその具体策如何。 一二、塩業の製造部門を公社に包含する意図があるのかないのか。 一三、塩業労働者は地主、小作、請負人等の封建的親方制度下におかれ奴隷的一年雇傭関係である地主制度の解放並労働者の地位の向上及び労働条件の改善を行う必要があるが、政府はその能力と具体策があるかどうか。 以上各項に対しては抽象的云い逃れではなく、具体的に明解なる答弁書を要請する。 |