質問主意書

第3回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

田畑小作料改正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十三年十月二十日

木檜 三四郎      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   田畑小作料改正に関する質問主意書

 一町乃至一反歩の田畑を貸して小作料を取る地主は少くとも二百六十七万三千人これが家族は約一千三百三十六万五千人にしてこの地主は、皆一様に農林大臣一片の告示により玄米四斗入一俵三十円という零のような小作料金を受け取らねばならね。而してこれ等のものは金納のため、米、大麦、小麦、大豆等主食物を入手することができぬ、強いて獲得せんとするには、左記の如く高値にあらざれば購入することができぬ。従つて地主は、日々の主食に苦しんでいる。然るに第一国会において片山首相は、地主が小作料安値のため困窮の場合は、生活保護法で救助する旨の答弁があつた。
 如何に法の力とはいえ、農林大臣の不公平なる告示により、従来正業を営み得たる健全農家を窮境に陥いれ、これがため主食に窮する場合は、生活保護法で救助すると謂うが如き矛盾せる政治は、民主主義の国家にあるまじき事柄である。又一方小作人にのみ格外の安価を以て穀物代を小作料として払わしめ以て地主を不利に陥れるは、新憲法第十四条の国民平等の真理に背き、且つ経済的に差別を設くるものにて、新憲法第十四条の規定に背反せるものである。



 昭和二十三年度の米の公定価は三五九五円である。しかして二十三年度の超過供出に対しては、公定価の三倍の奨励金を支払う旨発表している。
 これ等の事実に見るも小作料が極端に安値である事は明白である。この安価なる小作料金にては、地主は主食物を得る事が出来ないのは明々白々である。即ち農林大臣の小作料金の決定は、地主には主食物を与えざる方針であるかのように思はれる。即ち飽くまで地主いぢめである。差別待遇である。
 思ふに法律が小作料金決定権を農林大臣に依託せる所以のものは、大臣は小作料金の決定を公平に定むるものとの推定より法律に規定せられたるものである。然るに小作料金の不公平は米俵の空俵が一俵四十円乃至四十五円である。しかも其俵につめ込む玄米四斗は僅かに三十円である。此一事実に見るも如何に小作料が実際に添わざる事が明白である。
 農林大臣は、以上の実状に鑑み速かに小作料金を改定すべきであると信ず。農林大臣の意見を問う。

  右に対し至急文書にて、答弁せらるるよう要求する。