質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第八十号

内閣参甲第八〇号
  昭和二十三年四月二十七日

内閣総理大臣 芦田 均      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出省線電気化計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出省線電気化計画に関する質問に対する答弁書

 鉄道の電化は石炭の節約により産業の再建に寄与するところ大なるのみならず国鉄の経営面においても石炭費の節減と輸送力の増強により営業収支の改善にも極めて有効な方策であるから、急速に実現を図る必要がある。従つて電化すべき線区の選定も輸送量が大であつて石炭の節約に最も大きな効果を期待し得る線区、即ち東海道線及び山陽線を優先的に実施すべきことは論を俟たないところである。然し中国地方は我が国においては最も電力の不足している地区であるから山陽線中姫路以西は電力が相当充実した時期に実施することにした。他方関東地区の東北線、常磐線及び高崎線は東海道線及び山陽線に次ぐ輸送量の大きな線区であり、電力の確保も比較的容易であるから本線区のうち輸送量の大きな区間の電化を実施することにした。
 尚隧道が多く勾配が大きい線区については輸送隘路の打開及びサービスの改善上、この線区の電化要望も大であり、従業員の保健、その他の面より電化の必要はあるが、かかる線区は電化による石炭の節約も比較的僅少であるから此の線区の電化は出来るだけ将来にゆずり、列車の運転上特に困難を感ずる線区のみ電化を実施することにとどめた。
 此の他、大都市近郊において旅客の混雑の甚しい線区に対しては民間より電車運転の要望も極めて大きく、電化後は旅客も増加し、従つて営業収入の増加を期待し得るので、大都市近郊線の電車化も急速に実現を図る必要はあるが、資材その他の面より前記諸線区の電化の実現を俟つて之を実施することにし、ただ常磐線松戸取手間のみ電車運転を電気機関車運転より先に実施することにした。