質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第七十五号

内閣参甲第七五号
  昭和二十三年四月二十七日

内閣総理大臣 芦田 均      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出全国河川砂防工事に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出全国河川砂防工事に関する質問に対する答弁書

一、昭和二十二年度における全国砂防関係予算は、約壱億壱千万円で当初要求額約四億壱千万円に対しまして僅か四分の一程度に過ぎなかつたのであります、之に加えまして諸物価並びに賃銀の昂騰は勢い事業量の減少となり実質的には当初実施計画の六割程度の完成を見たに過ぎなかつた事は甚だ遺憾に存じます。
 我国山地及渓流荒廃の現状より見ますと二十三年度以降五箇年間に最低約百五拾億円の砂防工事費を必要としますが昭和二十三年度においては概算工事費三拾億円を目途に要求したのでありますが既に四月分暫定予算として約壱千六百万円を認められたに過ぎずかかる僅少な予算では現状に即した砂防事業の円滑な遂行は甚だ困難な状況であります、しかし国庫財政の許す範囲において極力事業の実施を推進致し度いと考へております、なお昭和二十二年度においては該事業のため動員致しました労働者の人員は延約百六拾万人でありまして本年度においては僅かな暫定予算のため未だ本格的事業の着手に至つておらぬ現状であります。

二、河川工事の如きは国家再建の基盤をなすものであり従つて国力の進展に一歩先んずべきであると考えるのであります戦時中における河川の荒廃を取戻すべく政府においても極力努力致して居るのでありますが国家財政窮乏の今日におきましては意に任せない点のあることは甚だ遺憾であります、しかし政府におきましては財政の許す限り河川の状況が戦前に復帰します様努力致したいと考えております。