質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第四十一号

内閣参甲第三九号
  昭和二十三年三月二十五日

内閣総理大臣 芦田  均      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員油井賢太郎君提出国鉄輸送途中貨物抜取に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員油井賢太郎君提出国鉄輸送途中貨物抜取に関する質問に対する答弁書

 国有鉄道における荷物事故の防止については、保管庫及び防護施設の改良等諸種の対策を講じて来たが、特に警備掛の設置、荷物事故防止巡察員制度の新設等を行つて監視の強化を図ると共に、取扱者をして責任ある受授保管に当らせている。又職員の不正に対しては厳罰主義をもつて望むこととしている。
 御指摘の繊維製品については、更に特別の輸送取扱方を定め搬入、積込、取卸、貨物の保管、小運送等について格段の措置を講じこれが輸送の万全を期しているが、なかには荷造の不良のものもあるのでそれらの改善方についても関係方面と協議して事故防止に当つている。
 なお現下の諸情勢に鑑み、国有鉄道においては荷物事故防止方策を強化する必要から専任公安官制度の実施を計画し、着々要員の養成に当つているが、近く法案を提出して国会の審議を願い制度の確立をはかると共に、要員の充実をはかつて貨物列車の警乗、駅、操車場の警備にも当ることとしたい。(運輸省)
 戦後食糧不安に加えて復員者、引揚者等の潜在失業者の増加により列車利用の闇商人が増加し汽車、電車等の交通機関が異状な混雑を呈するに至り掏摸置引始め進行中の貨車を赤信号により停車せしめて大がかりな抜取りを敢行するような悪質列車犯罪等が著るしく増加している。
 国家地方警察本部としては内務省当時より既に移動警察官を列車に乗込ませ或は制服警察官を主体とする警乗等を実施しこの種犯罪の防遏検挙に努めて参つた次第である。この結果列車内の治安は稍々回復したとは云え、列車犯罪は減少するに至つていない実情に鑑み新警察法の下においても列車犯罪の防遏の必要を痛感せられるので同法第五十五条に基づく市町村警察より援助要求の建前をとり国家地方警察において移動警察を一元的に実施することにし併せて地方の実情により市町村警察においても極力これを実施することを要望し国家地方警察及市町村警察が密接な連絡協調を計り移動警察を実施する外この種事犯の被害者に対しては極力届出を勧奨し抜取事犯等の防遏検挙に努めている。(国家地方警察本部)