質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第二十三号

内閣参甲第二三号
  昭和二十三年二月十七日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員北條秀一君提出教職員適格審査についての質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員北條秀一君提出教職員適格審査についての質問に対する答弁書

(一)、一、中央教職員適格審査委員会は文部大臣の設置にかかり、審査委員は教員代表六名、各界代表五名、教育職員代表四名、学識経験者五名及び文部次官で組織されている。
二、中央教職員適格審査委員会の審査方法は、昭和二十二年文部省訓令第四号「教職員の適格審査をする委員会に関する規程」に基いてつぎのように行つている。
1 同訓令第十三条により、審査委員会の審査は非公開とし原則として書面審査を行い、昭和二十二年共同省令第一号施行規則別表第一に規定する十二項目にわたる審査規準に照らして委員が慎重審査の上、表決によつて適、不適を決定している。
2 同訓令第十四条により審査判定は審査委員の過半数で決定し若し可否同数のときは審査委員長の決定するところによる。表決は無記名投票によつている。
三、適格審査室は分課規程(別紙参照)に基いて設置され、室長(文部次官)、参事(学校教育局長)及び主事等が置かれてある。故に主事は審査事務を総括する地位にあつて単に事務処理をするに過ぎない。
 審査は書面審査を原則とするから、再審請求者が提出する如何なる審査の反証資料も受理すると共に、原審査委員会よりも審査経過を詳述した書類を提出させて、書面審査の完璧を期しているが、再審請求者並びに関係証人が出頭して口頭陳述をすることも認めているし、又審査委員会の指示により、主事が再審請求者の陳述を聴取する場合もあるが、これは審査の基礎的資料を整備するに過ぎない。
 中央教職員適格審査委員会幹事四名中の一員として主事が委員会に列席するのは審査資料を提出する事にあり、委員から資料関係につき質問があれば応答もする。
 審査は再審請求者よりの審査の反証、原審よりの審査経過状況報告書と再審請求者及び関係証人の口頭陳述書を各委員が検討の上、表決によつて適不適を決定している。

(二)、書面審査を原則とし、各委員が慎重審議の上、表決の方法を採つている現在の審査方法は、厳正公平に行われていると考える。

(三)、再審請求者の身分については、再審請求中は原則として変更なく、直轄学校は休職給、各県は現職給を支給しているが、審査の永引く場合は休職給を支給しているから失職ということはない。しかし遠隔な地方から再審請求者が自費で上京される事は経済的負担が大である事は認められる。公職適否審査委員会なみの予算があればこの点も解決できると思う。
 しかし審査は書面審査を原則とするから必ずしも再審請求者が上京陳述する必要はなく、且つ本人が必要と認めたときは審査資料として反証を追加提出ができる。
 委員及び係官が現地調査の上、原審の委員や再審請求者の意見を聴取したり、現地の実情を調査する事は、事案を具体的に把握されてよいが、経費と時間の点から現在は十分とは云えないが実行している。即ち係官を出張させて原審の委員や再審請求者の意見を聴取して、審査資料の作製に努力している。
 なお、中央教職員適格審査委員会が一応審議した結果、原審査委員会の判定が、審査規準に該当しない単なる経歴のみで判定したとか、又は資料不足、証拠不十分な審査判定とか、或は適用条文の誤りがあるとか、又適格審査の問題でなく、行政処分の問題と思われる場合は、原審差戻しを命じている。この場合原審の委員会は差戻された事案について慎重に十分な資料又は証拠或いはあたらしい事実の蒐集発見につとめた上で、再び審査する事になつている。現在、原審差戻しを命ぜられた件数は相当数にのぼつている。

文部省分課規程(昭和二十一年五月八日)
第二条 大臣官房ニ教員並ニ教育関係官公吏等ノ適格審査ニ関スル事務ヲ掌ラシムル為適格審査室ヲ置ク適格審査室ニ室長、参事一人、主事及室員若干人ヲ置ク