質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第十七号

内閣参甲第一五号
  昭和二十三年二月六日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出所得税課税方針不当に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出所得税課税方針不当に関する質問に対する答弁書

一、昭和二十二年度の所得税の課税は、所得金額が名目的に相当多額に上るので税負担もまた近年になく相当多額になつているのは、現下の財政事情その他諸般の情勢からみて已を得ないところであり、これが国民生活に相当の影響を与えていることは事実である。
 しかし国民をインフレの破局化より救い出し、国民生活の安定を図るには、まず健全財政の確立にまつところであり、これがため、この程度の所得税の負担は、耐乏生活によつて、明日を期待する国民各位には、立派に堪えて行けるものと確信している。もとより所得税の負担は、あくまで適正公平でなければならないのであつて、税務当局においても十分注意しているところであるが、もし課税が税法に違反し不当であることが、明らかになつた場合には、現に遅滞なく、これを訂正している。

二、所得税の予定申告に対する更正決定は、全国にわたり営業所得についてこれを行つているのであるが、調査の都合上一部の地方に限り特定の十三種目につき、まず更正決定の通知を行つたものである。その課税総額は、目下報告取纏め中である。

三、政府は国民をインフレの破局化より救うため、健全財政の確立に努力している次第であつて、この際この程度の所得税の収入を確保することは必要であり、且つ、国民負担として堪え得る限度を超えているものとは認めない。即ち現在の課税は国の再建のため必要なものであつて、国民を死滅せしめるものでは絶体にないと信ずる。