質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参甲第一号
  昭和二十三年一月九日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員青山正一君提出漁業権に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。



   参議院議員青山正一君提出漁業権に関する質問に対する答弁書

一、漁業免許の如き事務は、国の都道府県知事に対する委任事務であるから、その処理については法律上は都道府県議会の権限外の行為であるから、その取消を決議しその執行を迫つても法律上の効力はない。

二、現行法では旧漁業権が当然復活することにはなつていないから、かかる場合旧漁業権者が旧漁業権と同様の新規免許を改めて出願する外に方法はない。

三、免許制限距離に関しては、都道府県知事は、漁業免許の権限を与えられているから、漁業法及び同法施行規則の規定する範囲内において、免許制限距離を免許方針として定めることができ、これを漁業法の執行命令として定め得る。但し、免許すべからざる場合は、漁業法及び同法施行規則に規定してあり、免許制限距離を定めることは、事案がこれ等の規定に該当するや否やを判断する材料としての意味を持つものである。

四、従つて前項の免許制限距離内の出願に対して免許を与えた場合は、都道府県知事としては、一応法規に違反し、その免許方針に反する免許であるから、これを違法の免許として錯誤による免許取消処分をしても一応は差支えない。但し、前項でのべた如く、免許制限距離に関する規定は、一応の免許方針であつて免許が漁業法及び同法施行規則の規定に該当するや否やの判断材料にすぎないから、この規定に違反したからといつて直ちに違法の免許であり、従つて錯誤による免許取消処分をしうるとは言いえず、窮極においては、免許が漁業法及び同法施行規則の規定に該当するか否かによつて決すべきものである。