質問主意書

第2回国会(常会)

質問主意書


質問第百二十九号

化学肥料及び農薬の需給と価格に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十三年六月五日

田中 利勝      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   化学肥料及び農薬の需給と価格に関する質問主意書

一、政府は本年度食糧増産計画の実施に当り農民に対し反当り硫安五貫五百匁、燐酸肥料二貫匁の配給を公約したが、聞く処によれば右計画の基礎をなす処の二十三年度硫安生産計画の策定に当り硫化鉱の生産業者の意向を徴しなかつたのみならず商工省鉱山局長も知らぬ間に硫化鉱の劃期的増産計画を織り込んだ相であるがその実相如何

二、現在は各方面において生産計画と価格政策が矛盾しそのため所期の生産が確保出来ないで弥が上にもインフレを加速しているかの如き観があるが鉱産物の価格において特にそれが甚しいと思う、肥料原料たる硫化鉱においても大増産計画を企図しつつあるにも不拘価格面においては日本一好条件に恵まれた柵原鉱山さえ月々二千万円に近い赤字を出す様な価格が決定されているのは何故であるか
 二十三年度硫化鉱生産計画は月一三〇、〇〇〇屯を目標としているが二十三年四月の実績は八七、〇〇〇余屯で計画の七割にも達していない、これには種々原因があると思うが価格政策の矛盾は、その大なるものと思う政府は硫化鉱の新価格形成に当つて如何なる具体的方策を建てているか。

三、硫化鉱に対する資金資材の割当を肥料工業と同順位にしなければならぬと思うが政府の意向如何。

四、硫化鉱に対する輸送力の割当を石炭と同順位に意向はないか。

五、亜砒酸の二十三年度需要見込は三、〇〇〇屯であるが生産計画は二、〇〇〇噸である。然るに現在迄の実績は二十三年度実績に於て月約一一〇屯であつて計画の実現には甚だ遠いと思う、現状よりする二十三年度生産予想並に不足に対する対策如何。

六、亜砒酸の輸入について政府はGHQに懇請したか。

  右質問する。