質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第百十三号)昭和二十二年十一月十八日配付

内閣参甲第一二五号
  昭和二十二年十一月十四日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出差益課税等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出差益課税等に関する質問に対する答弁書

一、価格差益は、御説のとおり、価格改訂時の製造業者及び販売業者の手持商品について徴収することになつている。
この手持商品を旧価格で販売したことを確認すればその部分については差益を徴収しない取扱いをしている。
 なお、小売業者が、差益納付義務者となるのは本年七月六日以降の価格改訂による分からであつて、現在調査中である。

二、ブローカー営業者の所得に対しては、現在所得税が課税されており、これより課税所得を捕捉して十分課税の充実徹底を期し得るのであるから、ブローカー等に対し特別課税をなすことは現在のところ考慮していない。ただ一部のブローカー等が課税洩れとなり、相当租税負担を免かれている現状にあるから、これに対しては今後は調査の徹底に努め、脱税者の調査摘発、処罰の強化、第三者通報制の活用、滞納処分の促進等により、いやしくもこれらの利得者等が課税を免かれていることがないように一段と努力している。又今回の所得税法の改正において、七万円を超える所得者に対する税率を相当引き上げるとともに、罰則の規定を強化することとし、これらの利得者に対する課税の充実を期した次第である。
 なお、ブローカーに対する課税による税収金額の半額を勤労所得に対する所得税の減額に充て、他の半額を治水治山等の事業に使用することは、現在の租税の建前から見て適当でないと考える。

三、革靴につきましては国民生活の必需品でありますので政府に於きましては出来るだけ多量に生産致しまして広く需要者に行きわたります様に万全の努力を致して居りますが、何と申しましても原料たる皮革が非常に窮屈でありまして、殊に終戦以来全然輸入がありませんので各方面に不便をおかけしている点は誠に遺憾に堪えません。
 具体的に昭和二十二年度の生産計画を申しあげますと年間二百八十万足でありますが、皮革の需給状況の悪化によりまして実際の生産見透しは精々二百万足内外にとどまらざるを得ない実情にあります。之を総人口数に対比致しますと三十七人に一足ということになります。この僅少の靴を警察、鉄道、逓信等の官吏に配給しますと、一般国民に配給すべきものは皆無となりますので、乏しきを成るべく斉しくわかつという精神によりまして、全部これを一般配給に振り向ける結果として、警察等の特殊部門に対する特別割当は目下の処これを行う余裕がない実情であつて時節柄官業の従業員と雖も一般国民と斉しく不便を忍んで貰はなければならぬと考えます。