質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第百一号)昭和二十二年十一月四日配付

内閣参甲第一一五号
  昭和二十二年十月三十一日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出治安及び社会事業等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出治安及び社会事業等に関する質問に対する答弁書

一、農繁期を前にして、多数の乞食が農村に侵入し恐喝又は空巣狙等犯罪を敢行する者があるとのことであるが警察としては、乞食のみならず苟くも犯罪を敢行する不良徒輩に対しては断乎たる取締を加えており、殊に収穫期においては各府県において周密な計画の下に、悪質な買出し、野荒しを始め一般犯罪の予防警戒を実施している次第である。

二、本年度社会事業共同募金目標額は約六億八千万円でありますが、この中には日本赤十字で行つている基金募集額は含まれておらず社会事業基金と赤十字基金とは全然別に募集致しておるのであります。
 日赤において二五%の募集歩合を取るとのお話しですがこれは募集金の配分割合のことを云うのではないかと存ぜられます。即ち日本赤十字社においては募集金を市町村二五%、地方支部五〇%、本社二五%の割合にて配分することになつておりましていずれもこの中の殆んどは事業費として使用するもので事務費的なものは僅かに五%程度を取ることに致しております。
 又他の団体も六%の歩合を取つているとのお話しですが社会事業共同募金に関しましては中央においては歩合をとらないのでありまして地方委員会の事務局で啓発宣伝その他の費用に充てるため事務資として五、六%を取ることにしております。
 この社会事業共同募金はアメリカのコンミユフーチエストの例に做つて実施しておるのでありましてアメリカでも当初は大体その程度の募集歩合を取つており、日本においても本年度は大体その程度の募集歩合を事務費に充当して差支えないと指導しておりますが実際各地方の状況を見ますと大体五%以下で行つているようであります。
 明年度以後共同募金運動が軌道に乗りましたならば出来るだけ事務費を節減せしめ御質問の御趣旨に副うようしたいと在じて居ります。

三、政府は本年度において腸パラ混合ワクチン、発疹チブスワクチン等を買上げるため、この経費を今回国会に提出の昭和二十二年度補正予算第五号として提出されることになつている。支払の遅れたる理由は同予算がご承知の如く種々の原因よりして政府案の決定が延引したため未だ予算の成立に至つていないので随つて歳出財源なきため今日迄支払をしていない実状である。予算成立後は速かにこれ等のワクチン納入代金を支払う予定である。

四、製薬瓶の価格は、全自動機械製瓶の価格の中に入り、目方できまつており、現行価格としては、昭和十九年十一月二十四日軍需省告示第六百九十六号できまつているが、現在迄統制額の改正なく例外許可として価格を許可していたが今回新物価体系として価格を設定する予定であるが基準年度昭和九、十、十一年のガラス瓶の価格は百匁七銭五厘で、現在、例外許可価格百匁四円三十銭即ち五七倍であり、今度新物価体系としては例外許可価格の一、七四四倍の価格を設定する予定でいるが、基準年度より見れば一〇〇倍の倍率を示している。