質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第九十九号)昭和二十二年十月三十一日配付

内閣参甲第一一三号
  昭和二十二年十月二十八日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出隠退蔵物資不法放出調査等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出隠退蔵物資不法放出調査等に関する質問に対する答弁書

一 終戦後軍部の解体により放出処分された物資については昨年一月連合軍の指示もあり緊急放出物件表を作成し之に基いて各都道府県を督励して回収につとめてゐる。右物件表以外にも放出されたものがあると思われるが帳簿がない為判明しないのであるが商工省、内務省、各地方庁において隠匿物資緊急措置令によつて調査供出に努めてゐる。今後残存してゐるものについては隠退蔵物資の調査摘発を徹底的に行うことによつてこれ等物資の回収再配分に努力する。
 なおこれら物資の計数については目下各省関係につき調査集計中である。

二 本年九月分揮発油の全国配給予定量約二二、六〇〇竏に対し未現物化約三、五〇〇竏に及んだ。
 これは九月四日鶴見入港予定の米船が聯合軍側の事情により十六日迄に遅延したことに原因し更に九月二十七日入港予定が遂に九月中に実現しなかつたためであつてその応急策としては米軍専用揮発油の基地放出を受けたが東京地区では放出なく為に他地区よりの転送を行つたが間に合わなくて石油配給公団東京支部管下で約二、〇〇〇竏の揮発油の未現物の結果となつた。
 なお揮発油の配給については毎月二万竏を超えた計画量に対し国内産出は僅かその一割にすぎず殆んどが輸入に期待するのであるが今日諸般の事情によつて十分なランニング、ストツクの保有が許されない関係上米船入港の遅速が直に国内配給操作に顕著な影響を及ぼす状況である。
 又かくの如く石油は輸入に俟つ所が大きいのでその配給については特に聯合軍司令部の関心も大であつて政府としてもその取扱につき慎重を期しているが就中自動車用揮発油については従来終戦当時の旧軍放出物資が市中に流れて正規の配給系路を乱す時があつたので揮発油の大口需要である自動車用に付ては特に本年八月以降揮発油使用に対する一斉登録を実施し不急不用自動車の使用を取締ると共に登録証及で割当切符制による配給統制を行うこととし各都道府県に自動車事務所を設置して割当の実施及び監督の任に当らしめることとした。
 近くその根拠として石油製品配給規則が制定せられる予定である。(十一月一日より実施の予定)

三 農村、漁村方面に新円が相当滞溜していることは十分承知しているが、これらの新円保有者等に対しては、実額を調査して課税所得を捕捉し、所得税により課税の充実を期する方針のもとに、目下申告額の更正決定に主力を注いでいる。これにより、これらの新円保有者の課税の充実徹底を図り得るものと考えるが、事業所得に対する新規の課税をなすべきかどうかについては、今後十分研究したい。