質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第九十号)昭和二十二年十月二十三日配付

内閣参甲第九八号
  昭和二十二年十月二十一日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出主食糧横流重罰等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出主食糧横流重罰等に関する質問に対する答弁書

一 闇取引事件に対する科刑が一般に軽きに過ぎるのではないかという点については、政府としても常に反省を加えつつあるのであつて、あらゆる機会を通じて検察庁に対し処罰の寛厳よろしきを得るよう特に注意を喚起してきているのである。
 主食関係の事犯については、現下の逼迫せる食糧事情に鑑み、特に取締の重点をおいているのであつて、統計的にみても全経済事件の大半は、主食関係事犯によつて占められているという実情であり、その処罰に関しても他の事犯に比し遥かに重く処分されているのである。
 もとより主食に関する闇取引といつても、事犯によりその態様は多種多様であり、従つて又情状も区々にわたつているのであるから、これが量刑も個々の具体的事件に即して決定すべきものであり、決して画一的に決定し計数的に算定すべきものではないと考える。
 なお刑罰としては単に罰金刑のみならず懲役刑、没収、追懲等もあり、又懲役刑と罰金刑との併科も可能なのであるから、これらの刑を自在に駆使しつつ、重かるべきものに対しては厳罰をもつて臨み量刑の妥当を期しない。

二 食糧営団のマージンは、必要とする諸経費から副産物収入として空俵及び糠の営団の販売価格を差引いて決定してある。従つて空俵の収入は営団運営上絶対に必要な収入であつて、決して雑収入ではない。この収入がなければ営団の経理はそれだけ赤字を生ずることになる。昭和二十年度以降の総収入は
 次のようである。

   昭和二十年度      二八、七八七千円
   昭和二十一年度     八九、八六二千円
   昭和二十二年度九月迄  一〇八、五七三千円

三 主要食糧に関しては、改府はその生産から消費にいたるまでの全流通機構につき、常に厳重な統制を以て臨んでいるのであり、その間には何等特権的な又は不公正な事実の介在を許容していない。闇取引に対する罰則の通用についても一にのべたように常に寛厳よろしきを得るよう努力をしているのであつて、政治の不完全等ということはないと考えられる。