質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第八十七号) 昭和二十二年十月二十三日配付

内閣参甲第一〇〇号
  昭和二十二年十月二十一日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員油井賢太郎君提出織物価格改訂による差益金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員油井賢太郎君提出の織物価格改訂による差益金の質問に関する答弁書

一、差益金の追加予算計上金額は各業種の在庫数量、昨年三月の価格改訂による差益徴収金額等の資料より目下算定中である。

二、国家財政の現況に鑑みて、本年七月価格差益処理規則が改正され、生産業者については新旧統制額の差額の三分の二を販売業者についてはその五分の四を価格差益として国庫に徴収することとなつており、一般会計の歳入となるものである。従来差益の二分の一は価格平衡資金として原材料の値上り等原価の昂騰による損失の補填に支出が認められてきたが、その制度は廃止されたわけである。但し已むを得ない原価の昂騰による損失については、重点的に緊要品目に限つて、亘つ厳正に審査の上、国庫より予算を通じて補填することを考慮している。

三、政府としては、目下の処織物業者に対し、既住に遡つて国庫より補償金を支払う予定はない。
 但し昨年三月の繊維関係の価格改訂により生じた差益のうちその半額は、価格平衡資金として積立てられ、物価庁長官の認可を受けて繊維価格平衡資金運用委員会の協議を経て、生産費の補償に支出することになつており、このため約九億円の支出を予定しているが、現在迄の平衡資金の入金額約五億円であり、内約二億円が既に支出されている。
 なお、価格差益の徴収に当つては、生産者については原価の昂騰を補填する意味で新旧統制額の差額の三分の一の控除を認めているがなお実情に著しく沿わない場合は、緊要な業種に限つて、厳正な調査のうえ差益の徴収上軽減を考慮する方針である。