質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第八十六号)昭和二十二年十月二十三日配付

内閣参甲第九九号
  昭和二十二年十月二十一日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出水害地救護米等腐敗物配給等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出水害地救護米等腐敗物配給等に関する質問に対する答弁書

一、今次水害地における政府所有被害米麦等については、目下の食糧需給事情に鑑み、極力その被害米麦を整理仕訳の上食用に供し得るものは、最大限度に充当する方針を採つているような次第であるが、変質等のため食用に適せざるものについては、これを配給することなく、他の適当な用途に向けることにより、苟も消費者に対し迷惑のかからぬよう期しているわけである。
 然し御質問の如く変質したものを配給しているようなことがあるとすれば不注意等に基くものと思われるも、これは寔に遺憾なことで斯様な点については厳重に注意の上、今後かかることのないよう指導する方針である。

二、ご趣旨は充分了承できるのであるが、入場税に目的税的性質をもたし、これに水害対策及び社会事業費等に充てる財源を求めることは、現行税制の建前等から見て必ずしも適当と思われないが、現下の映画演劇等の娯楽に対する消費の状況等に鑑み相当程度の増徴を考慮している次第で、増徴による収入は他の租税収入と合してそのうちから水害対策等の財源に充てられるものと思われる。

三、闇農地に関しては、本年八月、小川君の質問に御答えしておいた。その際青森県のある村を例にとつたが、それは極端な村について言つたのであり、青森県下全体の農家が、一戸平均五反歩の闇農地を持つていると誤解されてはならない。
 従つてそれから全国二千万石以上の闇主食を推算されるのは早計である。米の作付面積に関する実測調査を目下農林省統計調査局と食糧管理局で実施中である。その方法は一府県当り二十八ヶ町村を選び、選ばれた町村につき四百筆に一筆の割で実測調査を行い、農家の申告面積との差を調査するものである。その結果は未だ明らかでないが十一月末までに本省に申達することになつている。調査完了次第発表することとしたい。

四、上毛電気鉄道中央前橋、西桐生間二十五粁四分は本年九月の風水害により相当の被害を蒙り復旧費は約六百万円に達するものと認められる復旧所要資材については差当り釘、鉄線、セメント及枕木の割当を行つたがなお今後必要の状況を勘案して割当を行いたい。
 本鉄道は業績良好であり復旧に要する資金の内三百万円は自己資金を以て賄い残額三百万円については復興金融金庫より融通し得るよう斡旋する考えである。
 本鉄道は予定線にも該当していないし自立経営も可能と考えられるので買収については差当り考えていない。

五、酒類に対する課税は、財政需要の増加に伴い逐年増税の一途を辿り、その課税方法も単純な従量税から進んで酒類の種類、品質、アルコール含有量、用途別等によりそれぞれ税率を異にして歳入の増加を図つてきたのであるが、今次国会に提出予定の追加予算の編成にあたつても相当高度の税率の引上を予定し業務用の特別加算税の外にこれと同率程度の特別加算税を課し、家庭用等を圧縮して相当量の特価販売をすることになつている状況であつて、これを更に特価販売にする余裕は、現在の酒類生産事情からいつてないばかりか二の入場税の場合に述べた如く目的税的性質をもたせることは、現行税制の建前から必ずしも適当ではないと思われる。

六、御質問の趣旨は一種の着想であるが、これを実行するには、価格体系等との関連も慎重に考慮する必要があり、現下の情勢では、自由販売品「ピース」、「コロナ」より高価な煙草を新発売することは、その目的の如何に拘はらず物価高騰を促進するおそれがあり、新物価水準を維持する上において不適当であると考える。