第1回国会(特別会)
(答弁書第七十八号) 昭和二十二年十月九日配付 内閣参甲第九〇号 昭和二十二年十月七日 内閣総理大臣 片山 哲 参議院議長 松平 恒雄 殿 参議院議員油井賢太郎君提出公団組織と価格並に国民生活と資本金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員油井賢太郎君提出公団組織と価格並に国民生活と資本金に関する質問に対する答弁書 現在の民間酒類配給統制機関が酒類配給公団になつた場合において、 一、公団は酒類の適正な配給を確保することを目的とするものであつて、必ずしも利潤を追及するものでなく、民間資本の場合のように利益配当を行う必要のないこと。 二、公団は固定資産を所有することができないから原価償却をする必要がないこと。 等の観点から公団による場合、現在の配給統制機関の場合に比し必ずしも経費の増嵩による価格の引上を生ずることはないという意味であつて、資本金に対する配当を以つて国民生活の障害となるものとする趣旨ではない。 次に民間企業による場合と公団による場合とで酒価決定の要素の一である販売経費に如何なる影響を及ぼすかを検討して見ると、大体次のことが考えられる。 一、資本金については、公団は固定資産の所有を禁ぜられているから民間企業に比し少額ですみ、固定資産に対する賃借料を必要とする反面には原価償却を必要としたいこと。 二、運転資金については、その額は民間企業の場合と公団による場合とでは差異は認められないが、公団の場合は復興金融金庫から低利で資金の借入をすることができること。 三、人件費その他の経費については、民間企業と公団との間に著しい差異は認められないこと。 四、公団には所得税及び法人税が課せられないし又地方税も公団の事業に対しては原則として課せられないのに反し、民間企業ではこれらを負担せねばならないこと。 五、配当金については、政府としては公団の収支を償うことは必要とするが、これによつて歳入の増加を期待するものではないから、民間企業のように配当金は必要としないこと。 以上によつて明かなように酒類配給公団の場合は、公団組織が民間企業に比し酒価コストの低下をきたしこそすれ、必ずしも引上をもたらすものではなく、又これがために資本を否認するものでもなく又資本金が国民生活に対して有害であるとするものでもない。 なお、質問主意書に指摘されている配当金百七十二万円が払込資本金に比して僅少なのは、配当することのできない特別経理会社が二十二社(この払込資本金額四千六百五十万円)に上つているからである。 |