質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第七十四号) 昭和二十二年十月九日配付

内閣参甲第八四号
  昭和二十二年十月七日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出医薬品並に家庭薬製造許可願に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出医薬品並に家庭薬製造許可願に関する質問に対する答弁書

御質問の主意は医薬品の製造販売は昭和十三年迄は届出制であつたがその後これを許可制として終戦後も業者を圧迫しておるということと、今一つは製薬課長の専横により許可の処理が非常に遅く且つ許可されるものが少いということでありますが、先ず医薬品(売薬即ち現在の所謂家庭薬を含みます)の製造については従来一部は許可制、一部は届出制でありました。即ち売薬は許可制、所謂新薬新製剤は届出制でありましたが、昭和十八年薬事法の制定によつてすべての医薬品(家庭薬を含む)の製造は工場毎に主務大臣の許可を要することになりました。これは御承知の通り医薬品は一般商品と異つてその品質の如何によつては直接人命に危害を及ぼす虞のあるものでありますから、その成分、分量、製造法、用法、用量、標傍する効能、製造設備及び技術等に充分な注意を要することは申すまでもないのであります。従つて真に国民が安心して服用出来る医薬品を製造販売して国民保建衛生の万全を期するために許可制を採るに至り、現在においても許可制を採つておる所以であります。
 次に製薬課長の専横により許可に制限を加えておるということでありますが、医薬品の製造の許否に当つては、品質、工場の設備、技術、原料関係等について慎重審議の上決定をいたしておるのでりまして、一課長の独断に委するようなことはないのであります。殊に不許可処分とするものについては一層の慎重を期し、申請者に対して不許可の理由を通知しております。次に許可の遅れるのは申請品目の化学的又は臨床的試験等を要する場合で、このときは申請者にその旨を伝えて了解を得るように努めております。なお草根木皮を原料とするものでその製品が実際に効能があると認められるものであれば、工場の設備技術等が製造に不適当でない限り許可する方針を採つております。
 最後に参考までに許可の状況を申し上げますと、終戦後本年六月末迄の新規医薬品製造の許可件数は出願件数一〇二一に対し九二六(新規企業体許可件数六五一、従来の企業体に対する工場新設許可の件数二七五)でありまして許可の率は九一%になつております。又終戦当時の医薬品製造企業体数は全国で約五〇〇でありましたが、本年六月末における企業体数は一一五一になつており、僅か一年十ヶ月間で六五一即ち終戦時の二倍以上の増加を示しております。
 以上申し上げました通りでありまして業者を圧迫しておるような事は決してないと信じております。