質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第六十三号) 昭卸二十二年十月三日配付

内閣参甲第七四号
  昭和二十二年九月三十日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員青山正一君提出生鮮食料品(水産物)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員青山正一君提出生鮮食料品(水産物)に関する質問に対する答弁書

一、統制の問題について

(1) 魚類の公定価格を多獲性の大衆魚のみに限定することは、前回述べたような難点があるから、その実施は極めて困難であり、現在のところでは、その実施は考慮していない。なおその難点の主なものを繰返して述べれば次の通りである。
(イ) 従来魚価の決定に当つては多獲性の大衆魚の生産者に有利な決定を根本方針として来たが、その反対の施策を採用すれば、食糧政策上最も重要な多獲性の大衆魚の生産者が不利な立場に立ち、その生産意慾が減殺されること。
(ロ) 現在の食糧事情においては、あらゆる食糧品を動員して国民の食生活を安定しなければならないが、高級魚の価格統制を撤廃すれば、高級魚は一部富裕階級の独占するところとなり、食糧の公平分配が不可能となること。
(2) 農林省としては、農産物と水産物との取締りに差別をつける意志はなく、両者共に同じように力を入れている。若し両者間に現実に差異があるならば、それは水産物の配給統制が農産物のそれより数ケ月早く出発したことにより説明されると思う。

二、荷受機関の複数制について

独占排除のためには、既往の資本の分割だけでなく、新資本にも進出の途を開くことが必要と思う。その結果として群小荷受機関が乱立して市場を混乱させる危険があり、これに対しては、今後とも適当な対策を講じて行き度いと考えているが、一面自由競走の間に過小規模のものが自然淘汰されて行くことも期待出来ると思う。

三、魚価と資材について

資材生産の出来高を確実に把握してこれを公表することは、結構なことであるから実施方につき研究したい。黙認価格を絶体に禁止する旨知事に厳重指示しているが、この指示に反する府県に対しては出荷を停止する等の措置を講じて、その反省を求めている。

四、鮮魚介については、陸揚地統制を実施しているが、漁場における沖取引に対しては、種々の技術的困難があるから現在のところ実施していないが、その対策を研究する積りである。乙級陸揚地の統制は、その地からの出荷が主として県内消費向のものであるから、甲級陸揚地の例に準じて知事の権限で実施している。