質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第五十五号)昭和二十二年九月二十五日配付

内閣参甲第六六号
  昭和二十二年九月二十三日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員吉川末次郎君提出片山首相の平和主義見解の欠陥及ユネスコに関する質問に対し別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉川末次郎君提出片山首相の平和主義見解の欠陥及ユネスコに関する質問に対する答弁書

 科学的平和主義、科学的社会主義を重要にとり上げなければならぬことは、質問の趣旨の通りである。而してこの「科学的」は自然科学のみならず人文科学も対照としなければならない。私はこの意味において政治、経済、歴史、物理、化学等一さいの科学的知識並びに宗教、道義等を平和主義の基礎的理念としたいと考えている。即ち自然科学、人文科学の根拠の上に立つ民主主義の徹底によつて平和主義の確立を図らんとするものである。示されたる原子爆弾の発見は大きな教訓であり示唆であり革命的な出来事であることは言うまでもないと考える。
 尚、ユネスコ憲章によれば国際連合非加盟国といえども、ユネスコ執行委員会の勧告に基き総会の三分の二の多数決によユネスコ加盟国たる地位を容認されることが可能であるが、ユネスコ加盟は個々の文化団体としてではなく、国家としてこれを行うことになつているから、我国が連合軍指令により一切の外交関係を停止せられている現状においては、講和会議以前の加盟は困難と思われる。しかしながらユネスコ加盟は講和条約締結後早晩起るべき問題であるから、その準備が民間を中心として現在既に開始せられることは望ましい。政府は民間のかかる準備に極力協力する方針である。