質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第三十八号)昭和二十二年八月二十八日配付

内閣参甲第四四号
  昭和二十二年八月二十六日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員三好始君提出農業技術指導に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員三好始君提出農業技術指導に関する質問に対する答弁書

一、農業会が解散され農業協同組合が設立された場合における農業会技術員に代る技術指導方式については、目下連合軍最高司令部の助言を受けて立案中であるが当局としては昭和二十年以降設置して来た農業技術指導農場を充実し末端における農業技術の指導普及機関とする方針である。
 尚現在の農業技術員の活用方法については、技術員中適格者は指導農場の陣容拡充に伴う技術員に、又近く農業生産調整法案が議会に上程可決された場合の市町村農業調整委員会書記として採用される見込であり又農業協同組合においても自主的に相当の技術員を設置するようにしたい考えである。

二、農業技術指導農場は、自然条件、経営条件等を考慮して、昭和二十三年度迄に概ね五ケ町村に一農場宛を設置する計画で昭和二十一年度迄に一〇九四農場の設置を見、昭和二十二年度においては更に五一〇農場を設置するべく努力中であるが、農業会解散後においては末端における公的指導機関として農民に対する技術指導をも行うことになるので都道府県及び地元の積極的援助を得て、国家財政、資材等の許す限り昭和二十三年度迄に指導農場の新設を完了すると共に各種専門技術員の充実、設備の拡充を図り綜合技術指導農場としての実を挙げるよう措置したい。

三、我が国の乏しき資源と狭隘なる国土からみて現在及び将来に亘る農業生産力の発展、農業経営の合理化のためには科学的技術の研究確立とその急速な普及滲透が重要であることに鑑み中央、地方を通ずる各試験研究機関は相互の連繋を緊密にすると共に大学その他とも密接に連絡して基礎的研究を更に一層推進するよう強化したい。
尚試験研究機関と農家とのつながりについては、前記の如く指導農場の充実により綜合的技術指導力の強化を図るは勿論、普及宣伝事業並に技術者及び農民の技術教育を刷新拡充して科学的研究成績を農民に急速且つ的確に普及滲透する計画である。