質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第三十二号)昭和二十二年八月二十一日配付

内閣参甲第三一号
  昭和二十二年八月十九日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員姫井伊介君提出教育の機会均等上学資支給に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員姫井伊介君提出教育の機会均等上学資支給に関する質問に対する答弁書

 新憲法並に教育基本法の趣旨に沿い、広く学資支給の途を開いて教育の機会均等を計り、新生平和日本を建設するは現下の急務である。政府に於てはこのことについて鋭意研究中であるが、現在の処、日本育英会法によつて学資を貸与し、趣旨達成のための一助としている。
 日本育英会法の適用は新制中学校以上の学校に在籍する学生生徒で教員養成諸学校及び医料の実地修練中の学生生徒にも適用されることになつており、新制中学校に在籍のものには月額百円、従来の中学校師範学校予科及び青年師範学校予科の生徒には月額百五十円、専門学校、師範学校、高等学校及び大学予科に在籍する者には月額五百円、大学学部に在籍する者には月額六百円迄の範囲で夫々の希望に応じて決定するのであつて、本年度に於ける奨学生採用予定人員は新制中学校及び中等学校生徒三〇、〇〇〇名、専門学校及び教員養成諸学校学生二、二一一名、高等学校及び大学予科生徒八五〇名、大学学生一、一〇〇名、計三四、一六一名でこれに要する日本育英会の貸与金は総額九九、〇〇〇、〇〇〇円である。又、奨学生の詮衡は新制中学校、中等学校、師範学校予科、青年師範学校予科に在籍するもので、その学校長の推薦を得たものについては各都道府県庁内にある日本育英会支部で、また専門学校、師範学校、青年師範学校、高等学校、大学予科及び大学に在籍するもので、その学校の長の推薦を得たものについては、日本育英会本部で行われることになつている。勿論、日本育英会では学校の公私立を問わず、且つ、その手続も簡易で学生生徒の便宜を計つている。
 なお、来年度に於ては、教育の機会均等の見地から画期的な大改変を加えるよう考慮中である。
 昭和十八年創設以来の状況を参考までに示すと次の通りである。



 なお中等学校に在学する子女の生活保護法による保護につきましては、生活保護法はその日の生活に困る者に対し、その最低生活を保障するのが建前でありますので、中等学校以上の者の学資給与につきましては本法ではこれを取り扱わないことに致して居ります。むしろ本法の立場から申し上げますと中等学校以上に在学するような稼働能力のあるものにつきましては勤労に従事して当面の家計の維持に務めて貰い、しかもなおその世帯が最低生活を維持出来ぬとき本法の保護を開始するのが原則でありますが、しかし国民教育の立場から考えますときは応能教育の必要も十分認められますので、これが取り扱いにつきましては自ずと別途に考慮せねばならないと存じます。