質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第二十四号)昭和二十二年八月十三日配付

内閣参甲第二八号
  昭和二十二年八月十二日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出外交問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出外交問題に関する質問に対する答弁書

一、七月一日政府の施政演説中に於て総理大臣より平和国家日本の建設及び国際社会えの復帰希望等に関し政府の方針を申述べたこと御承知の通りであるが今日の所改めて外務大臣より御質問にあるが如き声明を出すことは考えて居ない。

二、御意見の通りである。尚我方としては議会の決議により又は色々他の団体より連合国軍最高司令官に種々の機会に謝意を表した次第は御承知の通りであるが今後適当な機会に於て米国に対し何等かの意思を表明しうると期待している。

三、昨昭和二十一年中においては、主として戦時中からのストツク品による輸出が行われ生糸が四七%余を占め輸出相手国は米国が六八、八%をもつて首位、その他は朝鮮(一九%)、中国(七%)香港(三、一%)となつていた。然るに、本年上半期においては、アメリカにおける売行不振のため生糸の輸出が停止し、これに代わり、新規生産物殊に昨年六月以来輸入を見た米棉による棉製品の輸出が始まり、総輸出額の四二%余をもつて我が輸出の大宗となるに至つた。輸出相手国においても、これを反映して、米国向が激減して一八、七%となり、蘭印向一六%、朝鮮向一五%、中国向一一%、英国向一〇%等となり広くアジア、ヨーロツパ、アフリカ、南米等の諸国に輸出先が拡大された。従つて貿易再開後何国向が首位を占めるやを適確に見透すことは困難であるが唯今度来朝する海外貿易代表のうち米国貿易業者は最も多数を占め、又その対日貿易に対する関心も深いようであるから、米国内雑貨、繊維製品の輸出は相当好刺戟を受け矢張り当分の間は米国が我が輸出相手国の首位を占めるのではないかと期待される。

四、今日世界各国共に、食糧問題の解決についても、経済の再建についても、いずれも米国よりの食糧品又は機械、原料、資材の供給に依存せざるを得ない状況であつて、我が国としても、食糧問題の解決及び経済再建のために必要な長期クレデイツトは米国に依存するの外はないと思う。