質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第十八号)昭和二十二年八月十二日配付

内閣参甲第一九号
  昭和二十二年八月八日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員姫井伊介君提出無用法令の廃除に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員姫井伊介君提出の無用法令の廃除に関する質問に対する答弁書

 永年、封建的、国家主義的立法に汚濁せられた我国の法的体系を新日本のそれに適応する如く清新化すると共に、法令の取扱と整理を簡易ならしめるため先ずその無用有弊の法令を速かに廃除するの意思無きかとの御質問であるが、その趣旨について、政府は、まことにもつともなことと思う。

一、御承知の通り、去る五月三日日本国憲法の施行とともに、新憲法の規定に反する法律、命令等はすべてその効力を有しないこととなつた。従つて、これに該当する法令等は、国法として存在しない。
(註 このような法令についても、政府はできるだけ一般に分明ならしめるために、当時廃止の手続をとつた。)

二、次に、新憲法によれば、法律を以て規定しなければならない事項を旧憲法当時制定された命令で規定しているものが相当数にのぼつているのであつて、政府としては、できるかぎりその整理につとめたのであるが、これらを新憲法施行前に一挙に整理改廃し、将来なお存続せしめる必要のあるものについて一々法律に改めるということは実際問題として不可能の事に属した。従つて、これら将来も効力を存続せしめる要のある命令の規定については、前議会の協賛を経て成立した昭和二十二年法律第七十二号によつて、新憲法施行後は昭和二十二年十二月三十一日まで法律と同一の効力を有することとする措置がとられたのである。
 しかし、この措置は、新憲法の施行に際して時日の関係上已むを得ない特別の措置として採られたものであつて昭和二十二年十二月三十一日経過後も、法律と同様の効力を有するものとして、存置する必要のあるものは、本年中には、立法措置によつて、法律に改めねばならないのであつて、政府部内では着々その準備を進めている次第である。

三、第三に、直接新憲法と牴触関係のない法令であつても、新憲法の施行による新日本の国政にふさわしいように整備すべきものについては、着々その改廃制定について努力している次第である。

四、最後に、無用法令の廃除等のため、政府部内に適当な機関を設ける、ことに関しては、只今の処特別な機関を設けることなく、夫々各主管庁において責任をもつて検討することとし、政府部内の連絡を密にして、叙上のような目的を達成致したいと考えている次第であるが、今後の必要に応じては御趣旨の存するところに鑑みてよく研究して見たいと考えている。