質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第十五号)昭和二十二年八月十二日配付

内閣参甲第一七号
  昭和二十二年八月八日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員北條秀一君外二名提出国民の耐乏生活に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員北條秀一君外二名提出の国民の耐乏生活についての質問に対する答弁書

一、最低生活費についてのお尋ねであるが、生活費について政府において問題としているのは基準生活費に関してであるので、基準生活費についての見解を述べる。

イ、日本国民の一人一日当り平均の生理的必要量は二、一六〇カロリーとされているが、戦後の著しい世界食糧不足の情勢に照し、日独両敗戦国に対する食糧輸入量決定の基準としては差し当り一、五五〇カロリー程度を確保することを目標とされているので敗戦国の宿命的所産として、この一、五五〇カロリーを国民の摂取熱量基準とせざるを得ない事情にあり、従つてまたこの数字を基準生活費算定の基準としているわけである。
ロ、カロリーの給源として主たるものは国内産米、麦、薯類及び輸入穀類による澱紛質食糧であり、魚類、野菜等で少量のカロリーを補う。
ハ、以上を根本とし、標準家庭(四・二人)一ケ月の基準生活費を飲食物費、住居費等々に分類して示すと次のようである。
 
一 飲食物費一、四六六・三八
二 住居費八九・五五
三 光熱費九一・九五
四 被服費二二〇・一二
五 保健衛生費一五九・二一
六 教育、修養、娯楽費一二七・三七
七 交通、通信、運搬費六一・九八
八 其他八二・六一
九 合計二、二九九・一七
ニ、生活保護法による生活扶助金の算出は、最低生活の維持を目途としてこれを行うのであり、しかも最低生活の内容自体は、個々の世帯における生活の実状によつて異るので、右の平均的基準生活費とは直接の関係はない。

二、蔬菜の大消費地に対する配給を一人一日当り七月二〇匁八月から十月まで三〇匁としたのは、各産地の出荷計画に基く供給可能量を示したものである。
 蔬菜は戦前一人一日当り六―七〇匁程度を消費していたのでありビタミン給源としてもこの程度の摂取が望ましいので極力特産地の再興育成をはかり、その増産を行わせるため肥料農薬等の先渡、蔬菜の出荷にリンクした肥料及びガソリンの配給を行い、地方自給菜園の増産を奨励して、大消費地における蔬菜対策としている。
 尚大消費地に入荷後の公正配給増加をはかるため、新しい業者の登録制を八月一日より行うこととした。