質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第二号)昭和二十二年七月九日配付

内閣参甲第六号
  昭和二十二年七月八日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員姫井伊介君提出国民健康保険組合制度に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。



   国民健康保険組合制度に関する答弁書

 現在国民健康保険組合は、諸般の事情から事業不振に陥つているものが多く、国民の保健衛生上真に憂慮に耐えない次第であるから、政府は之が再建についてあらゆる角度から研究を進めているが、御質問の点については概ね次の通りである。

一、保険料の国民負担を公平且つ均衡化することは洵に必要であつて、現行制度の下においても組合員の資力に応じ概ね十階級程度に区分して徴収をなしている次第であるが、之を課税化して所得税中に包含せしむることに付ては、遽に実現し難い、今後充分研究したいと思う。

二、現行の組合区域を市町村から都道府県単位に移すべきであるとする意見は、以前から論議されて来た処であり、危険分散の見地から考えれば一応首肯されるのであるが、国民健康保険組合が地方町村の行政と表裏の関係においてその地方的実情に応じて独自の相扶共済の協同組織として発展することを制度上の目途としている関係上、現行制度を採用しているのであつて、この点については、尚一層慎重に研究を進めたいと考えている。
 又組合事業として医療給付のみならず保健婦の設置、直営診療所の経営、栄養改善、結核予防その他一般保健施設の整備普及をなすべきことについては全然同感である。

三、社会保険の診療報酬は、日本医師会長及び日本歯科医師会長の意見を聴き厚生大臣が定めることになつているが組合の保険経済をも充分に考慮して決定せねばならないので適正且つ妥当な診療報酬額を決める為厚生大臣の諮問機関として社会保険診療報酬算定協議会を設けている。同協議会は診療担当者、保険者、被保険者、事業主、学識経験者によつて構成されている。なお第七回の同協議会の要望により地方にも夫々協議会を設けてある。政府としては右協議会の適切なる運用に依り妥当なる診療報酬の決定をなしたい。

四、保険医に対する社会保険の診療実績による医薬品及び衛生材料の配給は、社会保険の育成を図るため極めて必要なことであるので、近くこれが実施を見るはこびとなつている。

五、各種疾病保険の統合は既に社会保険制度調査会から答申のあつたところであり政府も将来の理想としては或は適当かと考えている。ただ国民健康保険組合の現状、保険技術、其の他諸般の事情から慎重研究すべき点が多く今遽に之を統合することは困難の事情にある。今後諸般の条件を整備することに努め之が統合に向つて進んで行きたいと思ふ。

  右答弁する。