質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第百二十二号)昭和二十二年十一月十七日配付

入場税等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年十一月十四日

北條 秀一      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   入場税等に関する質問主意書

一、入場税法第五条による「慈善事業」とは何んな範囲のものをいうのか、について明かにされたい。又「その他命令を以て定むる目的に充つる場合」についての見解を明示されたい。

二、前項の慈善事業の認定について現在実施されているところは、之を判定する規準も何もないために担当官の常識的判断による外はないようである。ここに種々な弊害が起り得るのである。慈善事業であるか何うかを判定するための責任者を明示されたい。

三、免税興業申請額は昭和二十一年度において何れ位になつているか、又その免税興業申請団体の中で、大口分十ケ団体名とその免税興業の実際申請額を示してもらいたい。

四、入場税を増額することは非常措置として已むを得ないことであると思うが、これを全国一率に引き上げることをやめて、都市と農漁山村との間に差等をつけることが正しいと思う。何故なれば文化と娯楽を享受する機会は全国民に公平に与えねばならない。然るに我が国の現状は都鄙間には全く著しい差がある。これが是正は容易でないが、不断の努力をする必要があると共に、この不公平に多少でも是正を加える意味から入場税率を都鄙間に差別をつけることが正しいやり方であると考えるが、政府は、これについて考えてみたことがあるか。又この私の意見について政府の見解は何うか。

五、昭和二十一年度入場税収入について左の区分によつて実績を示されたい。
イ、東京都の総計
ロ、横浜、大阪、名古屋、京都、神戸、福岡の六大都市の総計
ハ、その他都市の総計
ニ、町村の総計

六、戦時公債で外地に割当てた額は約五億円あるとの回答に接したのであるが、その利子は公債所有者が受取らないために(引揚者が終戦後の混乱の中で公債を喪失し又は帰国に際して携行不能なりしために)国庫に保留されている利子は既に三千五百万円以上に達しているとのことである。無一物の引揚者は今日更生資金に最も苦しんでいるのであつて、「明日の一万円よりも今日の百円が大切」なのであるが、この保留利子をこれら引揚者の共同の更生資金として融資等の方法によつて活用する考えはないか。

七、前項による保留利子が若し公債所有者に支払われたとせば、その利子は当然に新しい利子を生む訳である。そこで、この利子の利子を社会政策として引揚者等の団体の社会事業資金として活用する如き特別措置を講ずることが最も機宜に適した方策であると思うが、政府の見解如何。又それが可能でないとするならば、その理由について明示してほしい。

八、勧業債券で外地に割当てたもので、前項の戦時公債と同様のものが相当ある筈であるが、何れ位あるものか。

九、在外同胞が本国の生命保険会社と契約をしたもので、帰国後各種の障害(保険証券喪失とか本人及び家族死亡とか又は終戦後生命保険会社の保険料払込方法の変更等のために解約の余儀なきに至るとか等の理由で)で無効に帰するとか又はそれに近いものが相当の数に上つていると考えられるが、政府は、之について至急に生命保険会社に調査報告を命じ、結果を成るべく速かに回示してほしい。又これによつて生命保険会社の不当所得に帰するであらうと考へられるものの社会政策的善用について考慮し得るか何うかについて見解を示してもらいたい。

十、財団法人更生事業推進中央会が戦争犠牲者更生のために大いに活躍することを政府は期待しているとのことであるが、全くの無資力である同会に何を期待するというのか。もし政府が同会を育成強化することによつて戦争犠牲者等の更生に資せんことを本当に念願するならば、国会に対して、積極的な助成手段を講ずべきである。政府に何等かの準備ありや。

十一、今夏大蔵省本庁の一部が焼失したが、その原因と直接損害額について明らかにしてほしい。そしてこの損害についての責任の所在と、その処理を何うしたかについて明かにしてもらいたい。

十二、財団法人協助会の業績と現状を監督官庁の立場より説明してもらいたい。