質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第百十二号)昭和二十二年十一月七日配付

農林大臣罷免に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年十一月五日

池田 恒雄      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   農林大臣罷免に関する質問主意書

(1) 先般の私の質問に対して首相は「閣僚がそれぞれの所管乃至主張に基き真剣に意見を斗わすことは、私は民主主義政治の趣旨に副う所以であると考える。斯かる真剣な討議を通じて、はじめて国民全体の利福に合致する合理的な調整点が見出されるのであつて、現に米価問題に於ても既に大局的見地に立つ解決に到達するに至つている。」(内閣参甲一〇二号一〇、二一参照)と答弁された。
 なるほど米価問題の対立は一応調整されたのであるが、閣内の対立混乱は調整されないで、平野農相罷免の破局へと発展した。この事実と首相答弁とはウソとホントウの差である。
 何故に首相は真剣なる議員の質問に対して事実に反するウソを答弁するのか。

(2) 閣内不統一の当事者たる平野農相がその責をもつて罷免されるのも諒解されるのであるが、これを罷免した首相の閣内不統一に関する責任のとり方は如何様にするのか。

(3) 米価問題の調整点に織込れた平野農相の主張はその罷免後どのように処置されるか。

(4) 農政一般について平野農相と和田安本長官の間に対立がみられたのであつたが、現内閣は平野農相を罷免するの手段に訴えて安本農政を支持強行する方針か。

(5) 首相はこん回農相を兼任しているが、平野農政と片山農政との相異はいかなる点か。

(6) 現内閲が社会党を主班とする連立により新憲法下初代内閣として成立したことは美しき先例をつくるものとして国民一般が強く支持するところである。
 連立内閣にあつては各党間の意見の相異もあり、それが大局的見地に立つ首相の努力によつて調整されてゆけば閣僚間に多少の対立があつたとしても亦止むを得ないと考えている。
 しかるにこの度の不統一問題は首班政党たる社会党閣僚間の対立から起り、しかもその党の首相がその調整の術を失つた。
 従つて、この問題の処置と首相の責任のとり方は、亦新憲法下の先例ともなるものであつて、首相並に民主主義政治を代表する社会党の極めて重大なる責任に属する。
 この際、この問題に関する民主主義政治の趣旨に副うところの首相の措置方針をせん明にされたい。