質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第百八号)昭和二十二年十一月四日配付

パリテイ計算による米価決定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年十月三十一日

三好 始      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   パリテイ計算による米価決定に関する質問主意書

 質問第九十一号「米価決定におけるパリテイ計算に関する質問主意書」に対する政府の答弁(内閣参甲第一〇八号)は極めて明瞭な趣旨の質問に答えず、且見当外れの答弁をしている部分もあつて、政府の態度を甚だ遺憾とするものである。特に左の二点につき重ねて質問致したい。

一、質問第九十一号における質問の第一点は、昭和二十一年産米価がパリテイ計算によつて五百五十円と決定されたが、計算当時採用した農家購入品目の値上りによる均衡破綻の状況がどうなつたかを尋ねているのである。即ち同一品目、同一計算方法で昭和二十二年一月、五月、九月の冬期をとつてパリテイ計算した場合、米価は夫々いくらになるかを質問したのであるが、全然答弁されていない。かゝる態度は、国会法による質問を軽視するものといわざるを得ない。右に関する政府の再答弁を要求致したい。

二、パリテイ計算による米価決定に当り「将来における他物価の値上りを見込むことは、将来に生ずる物価騰貴を現在に招来することであつて、インフレを助長するものであるから、現在の物価水準に基いて米価を決定せねばならぬ。」ことは答弁されるまでもなく解つているし、こんな答弁を必要とするような質問もしていないことは、質問書をよく読めば明らかである。私が質問第九十一号全体を通じて主として質問しているのは、物価体系の机上的確立そのものは必ずしも現実的なインフレ停止の保障を意味するものでないから、将来物価が値上りになる場合、既に受取つている供出代金で一年間の支出をまかなう農家経済を如何に保障するかを聞いているのである。米価決定に際しての将来の値上りの考慮ではなく、決定後の事情変更に対する考慮の問題なのである。
 これに対し、答弁の第三項は「物価体系に根本的な変更を見るような場合は、米価に対しても必要により………改訂を行い、再生産に支障を生ぜしめないよう措置することは当然である」と答えているのは諒解できる。然して右「改訂」は、かつて米穀統制法時代、公定米価の改訂を行つた(昭和十四年)のとは本質的に意義を異にするから、既に支払つている供出代金の追加支払と解釈しなければならぬと思うが如何。