質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第九十八号)昭和二十二年十月二十一日配付

農業共済制度改正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年十月十八日

大山 安      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   農業共済制度改正に関する質問主意書

一、農業災害補償制度による掛金中通常被害率に相当する金額を限度として、これを農家負担とする事。

 政府の掛金の決定方法は、或年間の被害統計より通常、異常、超異常の三段に分けるのであるが、其の中通常被害率に相当する分は、農家実負担とし、大災害である異常、超異常被害率に相当部分は、政府又は消費者の全額負担とすべきである。

二、災害補償金支払に関する金融は、政府自ら迅速に行う事。

 今迄の災害に対する共済金の支払は、翌年植付時期迄遅延するのが例で、これがため災害地復旧はおろか増産意欲の昂揚を阻止する現状にあるから、政府は、一般助成金と性格を異にする共済金の即時支払(遅くも今年末)のため直ちに金融の途を講ぜられたい。

三、明年度より陸稲の共済を実施し、今年度旱害風水害の災害補償金は、水稲に準じ政府で補償する事。

 政府案によれば強制供出の対象となる農作物は総て加えることとなるが、水稲につぐ重要供出作物たる陸稲は、明年度より必らず実行することとし、本年は、旱害風水害激甚のため再生産に支障をきたすから、水稲同様災害補償金を交付されたい。

四、農業共済団体の事務費は、全金額国庫負担とする事。

 災害補償の積立金を農家及消費者負担としたので当然事務費は、全額政府負担として、耕作農民の負担の軽減を図り、殊に今次の災害査定を公正にして、以て国庫支出を正確ならしむるため、損害評価に要する経費は、速急国庫より支出助成されたい。

五、農業災害防止に対する補助金等は、農業共済団体を通じ交付する事。

 天災による各種の災害も国家の災害防止事業の完成により極限出来るが、零細な農家の積立により災害防止施策を行う農業共済団体に対し、政府は、補助金を交付し、或は此種補助金は本団体を通じ交付されたい。

六、農業災害共済団体に対し、必要物資を特配する事。

 単なる農業団体として創立以来少しの特配もなくそのため事業の円滑を欠き、事務の渋滞も往々あつたので、急速適当の方途を講ぜられたい。殊に、今次災害のため損害評価用の用紙、防水品その他物資の特配をせられたい。

七、家畜共済掛金を農業保険同様国庫負担とする事。

 家畜は、農業経営上不可欠なるに鑑み、有畜営農の徹底を期すると共に、これが飼養上の事故を共済保償し、全頭加入を計るためには、農業保険同様共済掛金の国庫負担を考慮せられたい。

  右農業共済制度の改正に関する政府の所見を問う。