質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第九十二号)昭和二十二年十月十五日配付

農産物供出理論の適用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年十月十四日

三好 始      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   農産物供出理論の適用に関する質問主意書

 供出制度の理論的立場に関する質問主意書(質問第七十九号)に対する内閣参甲第九一号の答弁に対し、主として末端割当に関して再質問したい。

一、供出制度における実収主義が厳密な意味では予想収穫高から農家保有量を差引いて供出量が決定される方式になることは技術的に当然といえる。従つて誤差の補正も必要となる。ところが現実的に問題なのは、実収主義による割当が末端に於て貫かれていたかどうかである。即ち、耕地面積の多い農家が、勤惰とは無関係に、殆んど例外なく過剰保有の可能な如き割当が果して実収主義の適用なりや否やである。然して、かかる割当を基礎とする超過供出報償が公正なりや否やである。過去の実収主義の弊害は、理論的な本質的弊害の外に、その適用に於ける杜撰さの弊害を加重していたのである。それは、末端割当に対する政府の研究と努力の乏しさに基くことが多いのではないかと思われる。かかる弊害の繰返しは新しい供出制度の下にも起り得る。
 右に対する政府の所見をお尋ねする。

二、責任供出制は責任の基礎となるべき生産及び供出条件の実態を把握することによつてのみ合理的に行い得るとの私の主張は個々の農家について言つているのである。然るに答弁書は農村の実態把握を取上げ、統計調査の整備と委員会制度の民主化を以て答えている。(これは府県割当に専念し、末端割当の研究と努力に乏しい政府の態度を示すものである。)これでは現実の末端割当の問題を改善する充分の根拠とはなり得ない。各農事試験場に於て、気象感能試験、作況試験、標準坪刈調査等々をいくら行つても、それは、その地方の収穫の一般的、平均的数字を把握し、供出の府県割当に一応科学的根拠を提供するに過ない。むしろ供出問題の中心課題である末端割当の解決は依然として残されている。従つて右の如き試験並に調査の外、委員会を単なる議決機関的存在から、実態調査の為の執行機関を兼ねた存在に発展せしめることにより、生産及び供出条件の実態把握に一歩近ずき得るのではなかろうか。政府は委員会による実態調査の技術的方法を検討すべきであると思うが如何。