質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第六十三号) 昭和二十二年九月二十三日配付

生鮮食料品(水産物)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年九月二十日

青山 正一      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   生鮮食料品(水産物)に関する質問主意書

 本件に対する質問に対し九月二日付内閣参甲第五一号及同第五二号を以て答弁書を受領したが甚だ官僚的な点もあれば極めて抽象的なものもあり今少しく民主的に且つ具体的な答弁を得なければ満足がゆかない仍て改めて二、三の点について再質問する。

一、統制の問題について

(1) 自分の問わんとするところは統制の対象を大衆魚にして、しかも多獲性の魚種のみに限定することについて政府の所見を訊したが偶々高級魚の字句が使われていたのを殊更らに採り上げての答弁である。自分の求めている焦点は高級、低級の区別や識別による統制の存廃ではない。要は例示した数種の大衆魚のみを対象とし其他の魚は全部公定価格制より除外することに付ての所見を聞きたいのである。
(2) 農産物と水産物との取締の差別を訊したが答弁書では取締の責任は政府以外の別箇の機関にある如くに了解される。政府は今少しく事実に即した答弁を為すべきではないか、即ち差別をつけている理由を卒直に国民の前に示すことを要求する。

二、荷受機関の複数制について

 私的企業の独占に伴う諸弊害を除去することが本制度の主旨であると述べてある、果して斯る主旨なれば「数」を増加することのみに於てこの目的は達成されない。
 現行の荷受機関の資格は法人、個人を敢て問わない、只一定の条件を具備して居ればこれを拒否し得ない。今後個人の富の力での荷受機関が簇出群小の荷受機関が乱立することも可能である。こうした場合企業独占排除の精神に副い得ると言い得ようか玉石混肴の現在の行方よりも既往の荷受機関の資本の構成を普遍的に再分配することに於ても独占排除の効果は充分期待し得ると考えるが如何。

三、魚価と資材について

 魚価を三倍、五倍に引上げても資材がなければ一尾の魚も採ることは出来ないことは前質問に尽きている政府もこの点努力を払われている点は了承するがリンク制以外の割当資材たる綿糸、綿網等の現物化の時期と数量を定期的に而も精確に公表されることは次期漁業の計画樹立上絶体必要とするところである。
 昨年割当られたものが未だに現物化せない実状に於ては次期操業の計画は全々樹立不可能である。
 少くとも四半期毎位いに夫々の出来高を公表すべきだと考えるが政府の所見如何。
 更らに公定価格の改訂後の今日に於ても依然として府県により黙認価格があり魚価に相違がある。
現に石川県においては底曳業者がこの問題について県庁に直接迫まつた事実もある。
 斯る魚価の不統一についても政府の所見を承りたい。

四、産地統制について

 農林大臣直轄陸揚地に農林省の係官を常駐させて集出荷の完遂を期する計画とあるが集荷地に至る迄に既に産地即ち漁場において処分され枠外に逃避する陸揚地の取締でなくしてこの産地での統制を如何にするかを承りたい。

  尚地方長官指定の陸揚地は如何に統制する方針か之も併て伺いたい。