質問主意書

第1回国会(特別会)

質問主意書


(質問第十一号)昭和二十二年七月三十一日配付

罰金刑に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十二年七月三十日

岡部  常      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   罰金刑に関する質問主意書

一、現行諸法令中に定められある罰金刑の最高額は、法制定の前後に依り著しく異り、多額に於て数万円の高額より百円台に至る広範囲に亘り彼此の間、権衡を失する場合多き現状である。之が運用に就いては相当の不便不利を感ぜらるることと考えられる。

二、略ぼ種類を同じくし、且つ同一程度の事犯に対し、一は数百円の罰金を科せらるるに反し、他は数万円の重き罰金を科せらるる例も生ずべく、極端なる場合を想像すると自由刑と罰金とを選択する場合、裁判官が法条を適用するに当り、本来は罰金を相当と思料するに拘わらず、罰金の多額が当時の貨幣価値に対比して余りにも低きに失するが為に、被告の受くる刑罰的痛苦を過少なりとする心理が働いて、仮令極めて短期なれども二、三ケ月の自由刑を以つて臨むと謂うが如き結果を招来するに於ては、其の被むる影響の重大なるを想はしめる。

三、実際不便不利を感じて居るとしても、現下の如き貨幣価値変動の甚しき折柄、全面的且つ根本的に罰金額改定の極めて困難なることは想像し得られる処で、爰に何等か適当なる方途則ち貨幣価値変動と罰金多額との間に横たわる不権衡の調節を謀る臨時措置方法案出を必要とするのではないか。

  右に対する政府の処見並に改正の計画ありや政府の御答弁を希望する。