請願

 

第221回国会 請願の要旨

新件番号 1303 件名 精神保健医療福祉の改善に関する請願
要旨  現在、精神科を受診する人は年間六百万人を超えており、誰もが安心して気軽に受診できる精神医療の充実は国民的な課題となっている。しかしながら、日本の精神保健医療は地域移行が進んだ諸外国に比べて著しく遅れており、依然として施設中心の療養生活が主流となっている。一九五八年の厚生省事務次官通知(精神科特例)以降、精神科病院では少ない人員配置と低い診療報酬体系の下、長期入院患者によって病床を満たすことで経営を維持する構造が続き、そこで働く従事者も一般病院より低い賃金水準に置かれ続けてきた。この制度的背景が精神疾患に対する差別や偏見を社会に根付かせ、本人の意思に反した入院や医療提供といった人権侵害を生み出している。また、二〇一四年に日本が批准した国連障害者権利条約に基づき、二〇二二年十月には国連から日本政府に対して精神医療の人権状況に関する懸念と改善の勧告が出された。これは、入院中心から地域生活中心への転換が進まない現状に対する国際的な警鐘でもある。
 ついては、全ての人の人権が尊重され、精神疾患があっても地域社会の一人として安心して暮らし続けることができるよう、次の措置を採られたい。

一、人権に配慮した良質な精神科医療・ケアの提供を可能にするために、医療法施行規則における精神科病床の人員配置基準を見直し、一般病床と同等以上の人員配置を義務付けること。また、精神科医療従事者の確保及び処遇改善を国の責任で推進すること。そのために、精神科医療に関わる診療報酬を大幅に引き上げること。
二、精神保健福祉制度の充実を図るため、精神保健福祉予算を抜本的に拡充し、地域支援体制の整備並びに看護師・作業療法士・精神保健福祉士・公認心理師・支援員などの雇用保障、教育・研修制度の充実を国の責任で行うこと。
三、国連・障害者権利委員会による日本政府への勧告を尊重し、患者・当事者の合意のない入院や治療、身体拘束・隔離の原則禁止、並びに無期限の入院制度の廃止が行える精神科医療へ法制化すること。
四、精神疾患や認知症を持つ人が地域で安心して暮らせるよう、包括的かつ継続的な地域支援体制を法制化し、地域移行支援の促進・拡充を図ること。
五、精神疾患を持つ人及びその家族の経済的・精神的負担を軽減し孤立を予防するため、保護者制度の見直し、医療費助成制度の拡充、最低賃金や最低所得保障を下回らない障害年金などの充実を図り、社会全体で支える体制を構築すること。

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