請願

 

第219回国会 請願の要旨

新件番号 371 件名 私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願
要旨  日本政府は、二〇一二年九月に国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項(第十三条第二項)の受入れを決定しており、無償化を計画的に進める責務を負っている。しかし、今も多くの学生が多額の自己負担を余儀なくされている。現在、日本の私立大学の初年度納付金は約百三十六万円(平均)で、私立大学生の学費(生活費を含む)は年間百九十万円を超えており、入学金を含めると四年間で自宅通学生は七百十七万円、自宅外通学生は九百八十六万円の負担となっている。多くの私立大学生は学費を捻出するためアルバイトに追われており、仕送り額の減少や物価高騰の影響で食費を抑えて生活するなど学生を取り巻く状況は一層悪化している。また、給付型奨学金や授業料などの減免を盛り込んだ大学等修学支援新制度は、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯(目安年収・約三百八十万円以下)の学生に限定されている。二〇二四年度からは多子世帯や理工農系学部への進学者を対象に拡大されたものの、対象となる学生は極めて少ないのが現状である。多くの学生が利用している奨学金は、基本的に貸与制で卒業後の返還が義務付けられている。所得に応じて返済する制度も有利子奨学金は対象外となっているため、奨学金を返済できず自己破産するなど深刻な状況も見られる。また、教育ローンを組んでいる世帯では学生が奨学金を借りている場合もあるため世帯全体で重い負担となっている。家庭の経済的な事情に左右されることなく、誰もが教育を受ける機会は均等に保障されなければならない。一九七五年には私立学校振興助成法が制定され、私立大学の教育研究活動に使う経費に対する補助が始まった。しかし、当初二分の一補助を目指していたものの、一九八〇年以降は補助額が年々減少し、今では八・六%(二〇二二年度)となっている。このことが私立大学生の学費負担を重くしている最大の要因である。教育の質を保証するためにも補助の大幅な増額が必要である。
 ついては、日本社会の未来を担う学生たちが学費の心配をすることなく勉学に励むことができるよう、次の事項について実現を図られたい。

一、高等教育無償化に向けて、学費負担を大幅に軽減する制度を創設すること。
二、大学等修学支援新制度の対象を全ての学生に拡大すること。
三、希望者全員が無利子奨学金を受給できるようにすること。また、既卒者を含め卒業後の奨学金の返済負担が軽減されるよう改善すること。
四、私立大学へ経常的経費の二分の一を補助すること。

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