| 新件番号 | 247 | 件名 | 筋痛性脳脊髄炎の指定難病と研究促進を求めることに関する請願 |
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| 要旨 | 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(以下「ME/CFS」という。)は、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD―11)において神経系疾患(8E49)と分類され、国際的に認められた診断基準が存在する神経免疫系の難病である。機能障害は全身に及び、二〇一四年の厚生労働省の実態調査では約三割の患者が寝たきりに近く、ほとんどの患者が職を失うという深刻な実態が明らかになっている。ME/CFSの集団発生は歴史的にウイルス疾患の流行後に起きており、二〇二〇年春より多くの専門家が、新型コロナウイルス感染症(以下「COVID―19」という。)がME/CFSの引き金になり患者が多発する可能性を警告してきた。最近では、長期に及ぶコロナ後遺症患者の約半数はME/CFSの診断基準を満たすとする論文や報道が相次いでいる。二〇二四年六月に、米国の医学諮問機関である全米科学・工学・医学アカデミーズが発表した報告書のLong COVID(コロナ後遺症)の定義では、ME/CFSを診断可能な疾患としてCOVID―19を契機に発症する疾患のリストに挙げている。また、COVID―19の長期的影響の報告書ではコロナ後遺症に類似した慢性疾患について、特にME/CFSと線維筋痛症に焦点を当てており、COVID―19を契機に発症する疾患としてこの二つを重視している。二〇二二年十二月に改正された感染症法の参議院の附帯決議には、第二百四回国会において衆参両院で採択された請願に基づき、「早急にCOVID―19後にME/CFSを発症する可能性を調べる実態調査、並びにCOVID―19とME/CFSに焦点を絞った研究を神経免疫の専門家を中心に開始する体制整備」が盛り込まれたが、いまだに関連する研究費は認められていない。このような中、他の難治性疾患で安全性が確認されているリツキシマブという薬のME/CFSに対する治療薬としての医師主導治験が、国立精神・神経医療研究センターにおいて二〇二四年度に開始された。しかし、ME/CFSは指定難病になっていないため治療薬が承認されても医療費助成が受けられず、このままでは経済的な理由で治療が受けられない人が続出する可能性がある。 ついては、ME/CFSが指定難病として認められるために必要な研究と、改正感染症法の附帯決議に盛り込まれた研究が実施されることを求め、次の事項について実現を図られたい。 一、COVID―19とME/CFSの研究 衆参両院で採択された国会請願及び参議院厚生労働委員会の附帯決議に基づき、COVID―19後にME/CFSを発症する可能性を調べる実態調査、並びにCOVID―19とME/CFSに焦点を絞った研究を、神経免疫の専門家を中心に早急に開始する体制を整えること。 二、ME/CFSを指定難病にするための研究促進 ME/CFSの客観的診断基準の開発の研究を促進し、一日も早くME/CFSを指定難病にするための条件を整えること。 | ||