| 新件番号 | 107 | 件名 | 介護保険制度の抜本改善、大幅な処遇改善に関する請願 |
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| 要旨 | 介護保険制度の開始から二十五年が経過したが、利用料や施設での居住費・食費の負担が重く、必要な介護サービスを受けられない人が増えており、家族の介護を理由とした介護離職は年間十万人と高止まりしたままである。介護事業所は低く据え置かれた介護報酬の下で深刻な経営難に直面しており、二〇二四年の倒産・休廃業件数は七百八十四件と過去最多となった。特に、訪問介護は基本報酬の引下げの影響で事業撤退が相次いでおり、訪問介護事業所がゼロになった自治体が増加している。介護現場の人手不足も深刻さを増しており、政府は二〇二六年度に介護職員が二十五万人不足する需要見込みを示しているが、有効な対策は講じられていない。肝心の処遇改善は遅々として進んでおらず、二〇二四年の全産業平均との賃金格差は前年の月額六万九千円から八万三千円へと大幅に広がっている。こうした中、政府は利用料二割負担の対象拡大やケアプランの有料化、要介護一、二の生活援助の保険給付外しなど更なる負担増・サービス縮小を検討している。これ以上の制度の後退は許されない。全ての人が安心して介護を受け、介護従事者も尊重される制度の実現には、国の財政支援の強化による制度の抜本改革、介護職員の大幅な賃金の引上げが不可欠である。 ついては、介護保険制度の改善、憲法第二十五条に基づいたケアが大切にされる社会の実現に向けて、次の事項について実現を図られたい。 一、介護保険の利用に困難をもたらす利用料二割負担の対象拡大、ケアプランの有料化、要介護一、二の保険給付外し(総合事業への移行)などの見直しを行わないこと。 二、訪問介護の基本報酬の引下げを撤回し、介護報酬全体の大幅な底上げを図る再改定を至急行うこと。その際はサービスの利用に支障が生じないよう、利用料負担の軽減などの対策を講じること。 三、全額国庫負担により、全ての介護従事者の賃金を全産業平均まで早急に引き上げること。介護従事者を大幅に増やし、一人夜勤の解消、人員配置基準の引上げを行うこと。 四、必要なときに必要な介護が保障されるよう、介護保険料、利用料、居住費・食費などの費用負担の軽減、サービスの拡充による介護保険制度の抜本的な見直しを行うこと。介護保険財政に対する国庫負担の割合を大幅に引き上げること。 | ||