新件番号 | 2071 | 件名 | 公務・公共サービス拡充に関する請願 |
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要旨 | 大規模な自然災害などが発生するたびに、国の地方出先機関を始め地方自治体や公的医療機関の人的体制などの過剰な行政合理化の悪影響が指摘される。二〇二四年一月の能登半島地震や同年九月の豪雨災害ではそれらが改めて顕在化し、行政機関が本来の機能を発揮できないまま早期の復旧・復興に至っていない。政府は国の行政機関の定員管理に当たって、行政機関の職員の定員に関する法律(総定員法)の下、二〇〇四年に今後の行政改革の方針、二〇一四年に国家公務員の総人件費に関する基本方針を閣議決定するなど、五年間で一〇%の定員合理化(削減)を一方的かつ一律に実施してきた。その結果、職場の人的体制は脆弱(ぜいじゃく)化し、(一)職員の超過勤務に依存した恒常的な長時間・過密労働の蔓延(まんえん)とそれに伴う健康被害・ハラスメントの誘発、(二)新規採用の縮減による年齢別人員構成の不均衡と組織の専門的な能力の減退、(三)定員外職員である非常勤職員の増大に伴う官製ワーキングプアの蔓延、(四)両立支援制度の形骸化などワークライフバランスを実現できない職場環境、(五)業務量に見合わない給与水準の満足度と職務へのモチベーションの低下、(六)こうした実態が複合的に影響した加速度的な若者の公務員離れなど、様々な弊害を招いている。二〇二四年六月には、二〇一四年に閣議決定された国の行政機関の機構・定員管理に関する方針が十年ぶりに一部変更され、定員合理化目標数の割合が半減したが、従前の定員管理政策を踏襲しており国民の行政ニーズに適応する組織体制の回復は期待できない。政府が実現すべきは、新自由主義的な行政改革が招いた行政体制の脆弱性を是正するため、現在の定員管理政策を早急かつ抜本的に転換するとともに、各府省の基盤的業務に従事する職員を増員し国民本位の行財政・司法を確立することである。 ついては、国民の命や暮らし、権利を守る公務・公共サービスの拡充のため、次の事項について実現を図られたい。 一、「行政機関の職員の定員に関する法律」(総定員法)を廃止すること。 二、「国家公務員の総人件費に関する基本方針」及び「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」を撤回すること。 三、二〇二五年度以降の定員合理化目標数を撤廃し、国家公務員を大幅に増員するとともに、必要な行政体制を確保すること。 |