新件番号 | 1834 | 件名 | 災害からの復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願 |
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要旨 | 近年、相次ぐ大地震や豪雨により全国各地で甚大な被害が発生している。二〇一一年三月に発生した東日本大震災では、福島原発事故で避難した人たちは住み慣れた地に戻るめどすら立っていない。また、二〇二四年一月の能登半島地震の被災地では、地震からの復旧がままならない状況で豪雨災害が発生し、道路・港湾・水道などのインフラ施設や住宅の損壊など様々な被害が生じ、地域住民の生活に支障を来している。こうした被災地域の真の復旧・復興のためには一層の支援が必要である。二〇二一年に発生した熱海市伊豆山地区の土石流災害は、建設発生土(残土)の違法な盛土工事によって引き起こされた。同様の被害を防止するためには、盛土規制法の改正を含めて発生者責任を明確にするなどの法制度の整備が強く求められる。地震や豪雨による被害の拡大や復旧・復興の遅れの現状は、災害への備えや行政などの公的機関の危機管理体制の脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにし、防災・減災のための公共インフラ整備と既存施設の適切な維持管理が不可欠であることが示された。防災や施設の適切な維持管理の最前線に立つ建設産業を、その担い手にふさわしく再生しなければならない。しかし、低賃金や過酷な長時間労働などの労働条件の劣悪さから入職者は減少し、産業自体が消滅しかねない重大な危機に陥っている。現場の担い手の確保に向けた対策を強化するため、いわゆる第三次・担い手三法が改正された。建設産業がその重要な役割を将来にわたって果たし続けられるよう、速やかな施策の実行が求められる。また、災害からの復興を最優先とし、国民の安全・安心の願いに応える公共事業を実現するために、公共事業を防災・生活関連・環境保全優先に転換すること、公正な賃金・労働条件と業者の適正な収入・仕事を確保することにより、地域社会を支える建設業並びに建設産業の再生を図ることを強く求める。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、災害からの復興を最優先とし公共事業を防災・生活関連・環境保全優先に転換すること。 1 自然災害から国民の命と暮らしを守り、中長期的な見通しの下で、安定的・持続的な公共投資を推進するために、必要な事業量と予算を確保すること。 2 地震や河川の氾濫、土石流など、災害からの復旧・復興を最優先で行うこと。 3 公共事業を防災・生活関連・環境保全の事業優先に転換すること。 4 公共工事の監督・検査、公共施設の維持・管理は国と自治体が責任を持って行うこと。 5 地域建設業育成や建設労働者保護を実施し国民の安全・安心を守り、行政機関としての責任を果たすため、公共事業発注官公庁及び独立行政法人などの体制を強化し、建設Gメンの増員など必要な体制を確保すること。 6 災害復興及び公共事業の計画策定に当たっては、過程の情報公開、住民参加システムの確立、年次ごとの再検討を原則とすること。 7 建設発生土(残土)の発生者責任を明確にするなどの法制度の改正・整備の措置を国として講じること。 二、公正な賃金・労働条件と中小業者の適正な収入・仕事を確保すること。 1 建設産業の元下関係における片務性を是正し、下請及び資材業者の適正な利益が確保される仕組みをつくること。 2 地域の安全・安心を支える中小建設業者の経営安定と建設労働者の雇用を確保できる持続的な施策を実行すること。 |