請願

 

第217回国会 請願の要旨

新件番号 1166 件名 ILO第百九十号条約の批准に関する請願
要旨  ハラスメントは人権侵害であるが、職場でのハラスメントが絶えない。職場における暴力とハラスメントは、被害者に取り返しの付かない深刻な精神的・身体的苦痛を与え、職場を去らざるを得なくするなど決して許されるものではない。二〇二二年四月から労働施策総合推進法により、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産、育児・介護休業に関するハラスメントに加えて、全ての事業所でパワーハラスメント防止措置が義務化された。しかし、その後もハラスメント相談は増え続け、相談しても解決に結び付かないとの声が上がっている。現行の法律ではいずれも事業主の防止措置義務にとどまっており、ハラスメント禁止規定も罰則がなく規制力が弱いためである。さらに、複合的に起こることの多いハラスメントへの防止措置をそれぞれ別の法律で規定しているため使いにくくなっている。近年はインターンや就活生へのハラスメント、顧客・取引先などからの著しい迷惑行為であるカスタマーハラスメントも問題になっている。現行の法律では裁判において民法上の不法行為で争うほかなく、被害者の救済やハラスメントの防止にはつながっていない。二〇二一年六月、ILO第百九十号条約である仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約が発効したが、日本政府は条約審議の中で賛成したもののいまだに批准していない。二〇二四年十月に国連女性差別撤廃委員会で行われた日本報告審議の総括所見では、パワーハラスメントに関する規制がジェンダー関係及び力関係に十分に対応していないことが指摘され、職場における差別、ジェンダーバイアス及びハラスメントにつながる有害なジェンダー規範及び社会規範に取り組むこととされたほか、独立した国内人権機関の設立も求められている。ハラスメントをなくすために日本の法規制を国際水準に引き上げること、職場における暴力とハラスメントの定義を定め人権侵害として罰則付きで禁止すること、ILO第百九十号条約の批准、独立した人権機関の設置を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、日本政府は、ILO第百九十号条約「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約」を批准すること。

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