請願

 

第217回国会 請願の要旨

新件番号 869 件名 中小企業支援の拡充による経済好循環の実現に関する請願
要旨  日本の最低賃金は二〇二四年度改定で過去最高の引上げとなったが、単身の若者が暮らしていくのに必要な生計費は全国どこでも月額二十四万円・時間額千五百円以上(最低生計費試算調査結果)に届かない低水準で世界の水準にも及ばない。最低賃金の地域間格差は、人口流失・地域経済疲弊の要因となり、格差解消は地方政治の大きな問題である。物価高騰から家計と企業の活力を取り戻して地域経済の好循環を実現し、日本の物づくりやサービス産業を発展させるためには最低賃金を全国一律制度に改め、大幅に引き上げることが喫緊の課題である。二〇二四年の企業倒産件数は前年比一五・一%増の一万六件となり、二〇一三年以来十一年ぶりに一万件を超えた。建設業でも資材高騰に加え、時間外労働の規制強化、人手不足、インボイス制度導入、税金や社会保険料の滞納、原材料高を価格に転嫁できないなどの要因により、倒産件数は千九百二十四件(一三・六%増)と三年連続で増加した。地域経済の担い手である中小企業には約七割の労働者が働いており、地域経済の好循環をつくり出していくには、最低賃金を全国一律にする最低賃金法の改正とともに、国の中小企業支援を抜本的に強化・拡充することが必要である。二〇二四年の地方最低賃金審議会の答申・附帯決議では、現行の中小企業・小規模事業者支援策の拡充をより強化するとともに、新たな助成制度の創設、税・社会保険料の減免、物価高騰に伴う材料費や労務費の上昇分を価格転嫁できるようにするための取引の適正化などを求めているものもある。さらに、昨年六月に改正された第三次担い手三法では、持続可能な建設業の実現を目的として課題の解消が期待されている。地域経済の主役である中小企業事業者や労働者への支援を強化するとともに、消費税減税、インボイス制度廃止、従来の健康保険証を使い続けられることなどを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、最低賃金を全国一律にし、大幅に引き上げるため、中小企業に対する特別補助を創設すること。
二、労務費・コスト増分の価格転嫁を阻害する行為への監督指導の強化、優越的地位の濫用禁止や不当廉売・原価割れ発注の禁止、短納期の規制など公正取引を確立すること。そのために、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法を抜本改正すること。
三、中小企業への官公需発注の増額と発注価格の適正化を行うこと。
四、中小企業への低利融資や貸付条件の変更など、円滑な資金提供を行うよう金融機関を指導し、企業再生ファンドの活動ガイドラインを示すなど中小企業が経営を継続できるための施策を強めること。

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