請願

 

第217回国会 請願の要旨

新件番号 857 件名 最低賃金全国一律制度による経済好循環の実現などに関する請願
要旨  日本の最低賃金は二〇二四年度改定で過去最高の引上げとなったが、単身の若者が暮らしていくのに必要な生計費は全国どこでも月額二十四万円・時間額千五百円以上(最低生計費試算調査結果)に届かない低水準で世界の水準にも及ばない。最低賃金の地域間格差は、人口流失・地域経済疲弊の要因となり、格差解消は地方政治の大きな問題である。物価高騰から家計と企業の活力を取り戻して地域経済の好循環を実現し、日本の物づくりやサービス産業を発展させるためには最低賃金を全国一律制度に改め、大幅に引き上げることが喫緊の課題である。二〇二四年の企業倒産件数は前年比一五・一%増の一万六件となり、二〇一三年以来十一年ぶりに一万件を超えた。建設業でも資材高騰に加え、時間外労働の規制強化、人手不足、インボイス制度導入、税金や社会保険料の滞納、原材料高を価格に転嫁できないなどの要因により、倒産件数は千九百二十四件(一三・六%増)と三年連続で増加した。地域経済の担い手である中小企業には約七割の労働者が働いており、地域経済の好循環をつくり出していくには、最低賃金を全国一律にする最低賃金法の改正とともに、国の中小企業支援を抜本的に強化・拡充することが必要である。二〇二四年の地方最低賃金審議会の答申・附帯決議では、現行の中小企業・小規模事業者支援策の拡充をより強化するとともに、新たな助成制度の創設、税・社会保険料の減免、物価高騰に伴う材料費や労務費の上昇分を価格転嫁できるようにするための取引の適正化などを求めているものもある。さらに、昨年六月に改正された第三次担い手三法では、持続可能な建設業の実現を目的として課題の解消が期待されている。地域経済の主役である中小企業事業者や労働者への支援を強化するとともに、消費税減税、インボイス制度廃止、従来の健康保険証を使い続けられることなどを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、最低賃金を全国一律にし、大幅に引き上げるため、中小企業とそこで働く労働者の社会保険料負担の減免制度などを早急に実施すること。
二、受託企業の適正な労務費と利益を保障する公契約法を制定し、地方自治体での公契約条例の普及を支援すること。
三、建設国保を維持・発展させ、また、従来の健康保険証新規発行を再開しこれからも利用を継続できるようにすること。
四、労働者の権利を守る労働基準法の趣旨が骨抜きとなる、憲法違反の法律改正は行わないこと。
五、建設アスベスト給付金制度をアスベスト建材メーカーの拠出を含めた完全な制度にすること。

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