請願

 

第217回国会 請願の要旨

新件番号 808 件名 私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願
要旨  日本政府は、二〇一二年九月に国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項(第十三条第二項)の受入れを決定しており、無償化を計画的に進めていく責務を負っている。しかし、現実には多くの学生が多額の自己負担を余儀なくされている。現在、日本の私立大学では全体の七割以上の学生が学んでいる。しかし、私立大学の初年度納付金は過去最高の約百三十六万円(平均)となっており、非常に重い教育費負担を強いられている。また、私立大学生の学費と生活費の合計は年間百九十万円を超え、入学金を含め四年間で自宅通学生は約七百二十万円、自宅外通学生は約九百九十万円にも上っている。多くの私立大学生は、学費・生活費を捻出するためアルバイトに追われており、さらに、昨今の物価高騰でアルバイトに費やす時間が増えている。家計の可処分所得も減少傾向の中、学生を取り巻く状況はなお一層悪化し、経済的に困窮するなど深刻な状況に陥っている。また、給付型奨学金や授業料などの減免を盛り込んだ大学等修学支援新制度は、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯(目安年収・約三百八十万円以下)の学生に限定されている。二〇二四年度からは多子世帯や理工農系学部への進学者に拡大されているが、それでも対象となる学生は極めて少ないのが現状である。多くの学生が利用している奨学金も日本の場合はほとんどが貸与=ローンである。所得に応じて返済する制度も有利子奨学金は対象外となっている。そのため、奨学金を返済できず破産するなど深刻な状況となりかねない。また、教育ローンを組んでいる世帯では学生が奨学金も借りている場合も少なくなく、世帯全体でも重い負担となっている。家庭の経済的な事情に左右されることなく、誰もが教育を受ける機会は均等に保障されなければならない。そのために、一九七五年には私立学校振興助成法が制定され、私立大学の教育研究活動に使う経費に対する補助が始まった。しかし、当初二分の一補助を目指していたものの、一九八〇年以降年々減少し、今では一〇%を割っている。このことが私立大学生の学費負担が重くなっている最大の要因である。
 ついては、日本社会の未来を担う学生たちが学費や生活費の心配をすることなく勉学に励むことができるよう、次の事項について実現を図られたい。

一、高等教育無償化に向けて、学費負担を大幅に軽減する制度を創設すること。
二、大学等修学支援新制度を全ての学生を対象に拡大すること。
三、希望者全員が無利子奨学金を受給できるようにすること。また、既卒者を含め卒業後の奨学金の返済負担が軽減されるよう改善すること。
四、私立大学の経常的経費の二分の一を補助すること。

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