新件番号 | 643 | 件名 | 全ての私立学校に正規の養護教諭を配置し、子供の命と健康を守るための教育条件を求めることに関する請願 |
---|---|---|---|
要旨 | 文部科学省の調査によると、高校生の不登校は約七万人、小中学校における不登校は約三十五万人、小中高におけるいじめの認知件数は約七十三万件、自殺した児童・生徒は五百人超と増え続けており過去最多である。日本の子供は過度な競争にさらされ心身に悪影響を及ぼしていると国連子どもの権利委員会に指摘されている。二〇一九年二月の国連子どもの権利委員会の総括所見では、取り分け緊急措置を採るべき分野として、差別の禁止、子供の意見の尊重、体罰、家庭環境を奪われた子供、リプロダクティブヘルス及び精神保健、少年司法に関する課題を挙げている。保健室で把握している子供の実態ではアナフィラキシーなど重篤なアレルギー症状、偏頭痛、起立性調節障害(OD)などの健康問題に加えて、近年はICT機器の普及によって子供たちが児童ポルノなどの犯罪の被害者・加害者になるケースが多発している。ネット依存症やSNSによる性被害、市販薬によるオーバードーズ(薬物乱用)や自殺企図も急増している。もはや子供の命が危機的な状況であると言っても過言ではなく、学校や家庭だけでは対応が困難で医療・福祉などの関係機関との連携支援が必要な状況である。養護教諭は、日常的なコミュニケーションの中で子供の訴えやささいな変化から気付いたSOSのサインを担任・学年など学校内あるいは家庭や福祉・医療機関と連携して支援を行っている。養護教諭は、学校保健の中核を担う専門職として子供たちの健康実態とその背景にも目を向け、学校内外で連携しながら継続的に子供と家庭に関わる教育職である。駆け込み寺としての保健室で子供に対応する命を守るゲートキーパーの役割はもちろん、学校全体の子供の実態に向き合い、日常的に学校内外での連携の中核を担う役割を果たしているのが養護教諭である。子供の実態は私立学校であっても公立と変わらないが、学校の経営状態や設置者(理事会)の考えによって教育条件や教職員の配置・労働条件に大きな差がある。養護教諭は、公立では標準定数法により小学校八百五十一人、中学校・高校八百一人以上の学校に複数配置する基準があるが、私立学校には明確な基準がない。子供と教職員の命と健康が守られるべき学校でありながら教職員の雇用は不安定な状態である。養護教諭の配置・学校保健体制・特別支援教育体制も公立学校に比べて大きく立ち遅れている。戦後、学校教育法により養護訓導から養護教諭に位置付けられ七十年以上経た現在も、私立学校ではいまだに教育職としての養護教諭が配置されていない現状、非正規雇用や一人で中高兼務などの現状が多くある。子供の命と健康を守るため、全ての私立学校の養護教諭の正規での配置と学校保健体制・特別支援教育体制の構築は喫緊の課題である。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、全ての私立学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・単位制通信制・高等専修学校など)に養護教諭を早急に配置すること。 二、私立学校について養護教諭の配置に公立学校と同様の基準を設けること。現行の複数配置基準は、「小学校八百五十一人、中学校・高校八百一人、特別支援学校六十一人以上」である。 三、学校教育法附則第七条(小学校、中学校及び中等教育学校には、第三十七条、第四十九条、第六十九条の規定にかかわらず、当分の間、養護教諭を置かないことができる)を削除すること。 |