請願

 

第217回国会 請願の要旨

新件番号 559 件名 設置基準をいかし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願
要旨  全国的に特別支援学校の児童生徒の増加が進み、二十年間で児童生徒が五万四千八百八十九人増で一・五七倍になったのに対して、学校数が百八十三校増で一・一八倍にとどまっており、極めて不十分である。全国で不足している教室は、二〇二二年度の公立特別支援学校教室不足調査(文部科学省)では三千三百五十九教室もあることが明らかになっている。特別支援学校では普通教室を確保するために、一つの教室をカーテンやつい立てで仕切って二教室として使ったり、調理室や音楽室などの特別教室を普通教室に転用している所が七千四百七十六か所にも上っている。仕切った教室はとても狭い上に、隣のクラスの授業の声や音が筒抜けで落ち着いた授業にならない。特別支援学校の子供たちは、長年にわたって劣悪な教育条件の下で様々な我慢を強いられている。このような事態を生み出した原因は特別支援学校の設置基準がないことだとして、父母・保護者・教職員・関係者が特別支援学校にも設置基準を作ることを求めて声を上げ、十年余にわたる運動を続けてきた結果、二〇二一年九月に特別支援学校設置基準が制定された。この設置基準制定の趣旨には、特別支援学校の教育環境を改善すると記されており、国や自治体には特別支援学校の劣悪な教育条件を改善する責務がある。しかし、設置基準が制定された下でも、既存校適用開始が明記されず、既存校への基準適用は努力義務(設置基準の附則2「当分の間、なお従前の例によることができる」の部分)となっていて、教育条件の悪化に歯止めが掛かっていない。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、制定された「特別支援学校設置基準」をより実効性あるものとするために、以下の内容を規定した「設置基準」になるよう早急に見直しを図ること。
 1 既存校の基準適用を「努力義務」にせず、設置基準への適用期限を明記すること。
 2 在籍する児童・生徒数の上限を一校につき百五十人以下とすること。
 3 通学時間の上限について、家庭から学校までを一時間以内と規定すること。
 4 教諭などの数は、一学級につき二名以上とし、児童・生徒の指導に当たるものとすること。
 5 障害種ごとに必要な特別教室の種類や数を明記すること。普通教室は一教室当たりの面積を六十平方メートル以上とすること。
二、設置基準制定の目的である、特別支援学校の教室不足解消と教育環境の改善を直ちに実現するための学校新設が進むよう、以下のことを行うこと。
 1 自治体が学校新設を促進するために、特別支援学校設置に関わる国庫補助率を早急に三分の二に引き上げるなどの予算措置をすること。
 2 国の教室不足解消のための「集中取組期間」を延長するとともに、各自治体が策定する「集中取組計画」が教室不足解消の実効性ある整備計画となるよう支援すること。

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