新件番号 | 479 | 件名 | 所得税法第五十六条の廃止を求めることに関する請願 |
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要旨 | 所得税法第五十六条は「事業主の配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払は必要経費に算入しない」(条文趣旨)として、家族従業者の働き分(自家労賃)を経費として認めないことを規定している。白色申告の場合、事業主の所得から年間で配偶者は八十六万円、配偶者以外の家族は五十万円が控除されるのみであり、時給に換算すると最低賃金にも及ばない。このため自営業者の配偶者や家族は社会的にも経済的にも自立しにくく、社会保障や行政手続などで不利益を受けており後継者育成にも大きな妨げとなっている。青色申告にすれば給料を経費にできる(所得税法第五十七条)と言うが、青色申告は税務署長への届出・承認を前提にした納税者への特典にすぎず、働いている実態があるため商売に応じた記帳を行っているにもかかわらず、申告の仕方によって納税者が差別されているのが実状である。国連女性差別撤廃委員会は昨年十月、女性の経済的自立を促進するため所得税法第五十六条を改正し、女性の家族経営企業での労働を認めることを日本政府に勧告した。所得税法第五十六条の廃止などを求める意見書は全国五百七十を超す自治体で採択されており、日本弁護士連合会(日弁連)や税理士団体からも意見書が出されるなど男女平等を求める国内外の女性運動との共同・連帯で世論と運動が広がっている。第五十六条は明治時代の家父長制的世帯課税を引き継ぐものであり、ジェンダー平等の考え方からも人権問題として差別的税制をこれ以上放置せず、家族従業者の労働の社会的評価や働き分を正当に認めるためにも第五十六条は廃止するべきである。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、所得税法第五十六条を廃止すること。 |