請願

 

第217回国会 請願の要旨

新件番号 444 件名 人権を保障するための福祉職員の賃金と職員配置基準の引上げに関する請願
要旨  福祉職場の多くは慢性的な職員不足に陥っており、人が人を支える福祉職場において利用者と職員双方の人権を侵害する原因となっている。一人の職員が対応する利用者や子供の人数が多く目が行き届かない、午睡中の呼吸チェックができない、食事介助中に喉に詰まらせる、排せつ介助やおむつ交換に時間が掛かる、入浴介助者がいないので風呂に入れてあげられない、ワンオペ夜勤で転倒・転落が起きてしまうなど、利用者や子供の安全確保と人権保障が困難な状況になっている。働く環境は、休憩が取れない、有給休暇が取れない、不払残業や持ち帰り残業があるなど労働基準法が守られておらず、仕事と子育て・家事の両立ができないほど長時間過密労働になっている。また、政府は処遇改善策を講じてきたものの、福祉職員の賃金水準は国の調査でも全産業平均より月額六万円以上も低く、命を預かり人権を守る仕事をしているにもかかわらず社会的地位は低いままである。多くの職員は誇りとやりがいを持って仕事をしているが、長く働くことに不安を抱えている。この状況を改善するためには、法令に基づきこれを下回ってはならないという強制力が伴う最低賃金を全国一律で今すぐ千五百円以上に、更に労働時間の短縮を図るためには千七百円以上にする必要がある。福祉分野は、政府が公的価格を引き上げることで事業所の人件費が保障されれば、全国一律最低賃金制度の実現を待たずに賃金水準を上げることができる。利用者も職員もその家族も個人として尊重され、誰も犠牲にならない権利が保障されるべきである。
 ついては、憲法第二十五条に基づいて国の責任で国民の権利を保障するため、次の事項について実現を図られたい。

一、地域・雇用形態・労働時間に関係なく、全ての福祉職員に時間単価千七百円以上、フルタイムで年収三百万円以上の賃金を保障する制度をつくること。
二、利用者の処遇向上と、福祉職員の休憩・休暇・事務時間が保障できるように、職員配置基準を引き上げ、常勤職員を増やすこと。

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