請願

 

第217回国会 請願の要旨

新件番号 405 件名 最低賃金引上げ実施のための中小企業・小規模事業所への特別補助、下請中小企業支援に関する請願
要旨  最低賃金は二〇二四年の改定によって加重平均千五十五円となり、最高額の東京都(千百六十三円)と最低額の県(九百五十一円)との差は二百十二円であった。地域別最低賃金額の差は、地方から都市部への人口流出・地域経済疲弊の要因となり、急激な物価高騰の中、最低賃金近傍で働く労働者から、これでは暮らしていけないと悲鳴が上がっており、最低賃金の地域間格差を解消し大幅に引き上げることは喫緊の課題となっている。全国二十八の都道府県(約四万八千人)で取り組んできた最低生計費試算調査で、八時間働けば人間らしく暮らせるには全国どこでも月額二十四万円(時給千五百円)以上必要であることが明らかになっている。特に、この間の物価高騰の下では、月額二十五万円(時給千七百円)が必要との試算結果も出ている。現行の最低賃金法は最低賃金決定の三要素であるその地域の労働者の生計費と賃金、事業の賃金支払能力を考慮し地域別に最低賃金額を決めている。地域別である限り、最低賃金額が低い地域では、その現状の支払能力や経済状況を基に最低賃金額が決められ低いままとなる。また、最低賃金額の高い地域は低い地域を考慮し決められている。このように地域別最低賃金制度は引上げを妨げる構造的な欠陥があり、最低賃金を大幅に引き上げるには地域別から全国一律最低賃金に法改正することが必要である。最低賃金法を改正し、全国一律千五百円以上を実現することで、誰でもどこでも普通に働けば人間らしい暮らしができ、若者の経済的自立を促して家族形成が現実と思える社会に変え、人口減少に歯止めを掛けるベースをつくることができる。最低賃金の引上げに当たっては、中小企業に対する支援の抜本的な強化を欠かすことはできない。最低賃金決定の三要素のうち事業の賃金支払能力を除外し、中小企業・小規模事業者が最低賃金の引上げに対応できる特別な支援策と財政措置を国の責任として法律に明記すべきである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、最低賃金の引上げを円滑に実施するため、中小企業・小規模事業所への特別補助を行うとともに、原材料費と人件費が価格に適正に反映される仕組みを総合的に整備すること。

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