請願

 

第217回国会 請願の要旨

新件番号 366 件名 精神障害者の生活保護における障害者加算の認定に関する請願
要旨  精神障害者が法律上障害者と定められたのは、身体障害者や知的障害者よりかなり遅れた平成五年の障害者基本法の改正時である。その際、参議院において、精神障害者のための施策がその他の障害者のための施策と均衡を欠くことのないよう、特に社会復帰及び福祉面の施策の推進に努めることとの附帯決議がなされ、当時の大内啓伍厚生大臣が、附帯決議の趣旨を十分尊重して努力すると答弁した。この附帯決議尊重の具体化として、平成七年に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で精神障害者保健福祉手帳制度が創設され(第四十五条)、厚生省保健医療局長通知(平成七年九月)でも、身体障害者については身体障害者手帳、知的障害者については療育手帳があり、様々な福祉的な配慮が行われていることに鑑み精神障害者保健福祉手帳制度が創設されたとして、精神障害者福祉施策が身体・知的障害者福祉施策との均衡を欠かないように位置付けられた。しかし、身体障害者の障害者加算認定は身体障害者手帳の等級でストレートに行われるのに対し、厚生省社会・援護局保護課長通知(平成七年九月)においては、精神障害者への障害者加算認定は精神障害者手帳の等級でストレートに行われず、障害年金の裁定請求権を有する者は裁定請求の結果が手帳等級に優先するのに対し、裁定請求権を有しない者は手帳等級で認定されるなど、精神障害者保健福祉手帳制度発足の根拠法や国会附帯決議の趣旨がいかされず、取扱いが不平等・不公平なまま現在まで約三十年も経過している。この通知によって生活保護業務が複雑となり、全国で精神障害者への障害者加算削除・過支給返還間題が発生する大きな原因となっており、地方自治体から内閣府や厚生労働省に対して、精神障害者の障害者加算認定の方法を改正するよう多くの意見が出されている。身体障害・知的障害・精神障害の制度格差を解消した三障害一元化、障害者差別解消法の制定、国会での請願採択による交通運賃割引制度の精神障害者への適用、昨年七月の全閣僚会合における障害者への差別のない共生社会実現の首相表明など、精神障害者に対する不平等や差別の解消は待ったなしの状況にある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、精神障害者に対する生活保護における障害者加算の認定は、障害年金の裁定請求権の有無にかかわらず、精神障害者保健福祉手帳の等級で等しく認定を行うようにすること。

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