請願

 

第217回国会 請願の要旨

新件番号 186 件名 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件改善、全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願
要旨  長引く物価高騰で貧困と格差はますます広がり、子供たちの成長・発達、心身に深刻な影響を与えている。OECD平均である二十人程度の学級に比べ、日本の学級規模は大き過ぎる。高等教育における私費負担割合もOECD平均の倍以上である。子供たちの命と健康を守り、学びを保障していくためには、教育無償化の実現や二十人学級を展望した少人数学級の更なる前進、教職員の増員、養護教諭や学校栄養職員・栄養教諭などの配置拡充などの行き届いた教育条件の整備が必要である。小・中学校、高校、特別支援学校で教職員の未配置が起きている。学校現場では病気休暇や産前産後休暇、育児休業などの代替教職員が見付からず、教育に穴が空く状況が数か月続くなど一層深刻である。新年度の四月に教職員が足りず担任が配置できない学校も各地で出ている。教職員の負担軽減を進めるとともに、正規の教職員を増員することが求められている。あわせて、私立高校等経常費助成補助を大幅に増額し、私学でも専任の教職員を増員できる条件を整備することが必要である。高校や大学などでの教育無償化を実現するためにも、高等学校等就学支援金制度の拡充、給付奨学金制度の更なる拡充など、国際人権A規約第十三条第二項の無償教育の漸進的導入を具体化し、子供たちが安心して学べる教育条件の整備を前進させるべきである。また、保護者の教育費の負担を軽減することが重要であり、給食無償化は給食の安全性を保った上で実現できる予算確保が必要である。日本の公財政教育支出の対GDP比(二〇二〇年)は三%とOECD諸国の中で最低水準である。これをOECD諸国平均四・三%まで引き上げれば、小・中学校、高校まで更なる少人数学級の前進、公立・私学共に就学前から大学までの教育無償化など行き届いた教育を保障する教育条件の整備を進めることが可能となる。憲法と批准三十年を迎えた子どもの権利条約が生きて輝く学校づくりを進めるために、国の責任で全ての子供に行き届いた教育を実現する条件整備を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、子供たちの命と健康を守り、学ぶ権利を保障するため、教育予算をOECD諸国並みに計画的に増やすこと。
二、義務・高校標準法を改正し、国の責任で、中学校、高校での三十五人以下学級を早期に実現すること。小学校も含めて少人数学級を更に前進させること。自治体独自の少人数学級が維持でき、欠員が生じないよう、十分な教職員を確保すること。幼稚園や特別支援学級・学校の学級編制標準の引下げを進めること。
三、有期雇用ではなく、正規・専任の教職員を増員すること。
四、教育費の保護者負担を軽減するとともに教育無償化を進めること。
 1 高校・大学などの学費無償化や高校生・大学生などへの給付奨学金制度の拡充を進めること。
 2 私学経常費助成補助の増額と高等学校等就学支援金拡充で学費の公私間格差をなくすこと。
 3 給食無償化を実現し、安全安心な給食を提供できるよう、自治体への財政支援を国の責任で進めること。
五、公立・私学共に安全安心な環境の下で学ぶことができるよう、教育条件や施設の改善を進めること。
 1 特別支援学校の過大・過密解消のため、国による財政支援の拡充、学校新設や既存校へ「設置基準」適用を進めること。
 2 学校の耐震化・老朽化対策、洋式トイレやエアコンの普及、バリアフリー化を進めること。
六、能登半島地震や東日本大震災などの自然災害、東京電力福島第一原発事故の被害を受けた子供を守り、学校と地域の要望を反映した復旧・復興を至急進めること。

一覧に戻る